2012年2月17日(金)
大阪市長の思想調査 即時中止を
日弁連会長が声明
日本弁護士連合会の宇都宮健児会長は16日、橋下徹大阪市長が市の全職員に思想調査をしていることについて、労働基本権、表現の自由や思想良心の自由といった「当該公務員の憲法上の権利に重大な侵害を与えるものであり、到底容認できない」とし、ただちに中止することを求める会長声明を発表しました。
声明は、職員に対するアンケートが組合活動の参加歴などを聞いていることは組合活動を妨害する不当労働行為に該当し、「労働者の団結権を侵害するものであり、職員に労働基本権の行使を躊躇(ちゅうちょ)させる効果をもたらすことは明らか」と批判しています。
地方公務員も、その地位を利用した選挙運動などを除けば憲法21条で政治的自由が認められていると指摘。アンケートが政治活動への参加歴や職場で選挙の話題を話したことについて回答を求めることは、「明らかに必要性、相当性を超えた過度な制約」だとしています。
さらに、アンケートが任意の調査でなく業務命令であり、正確な回答をしない場合は処分の対象とすること、自らの違法行為を報告すれば懲戒処分を軽減するとしていることについては、あたかもアンケートの該当事項が「違法行為」であるかのごとき前提で処分をちらつかせて思想信条にかかわる事項を答えさせるものだと指摘。「いわば職員に対する『踏み絵』であり、憲法19条が保障する思想良心の自由を侵害するものである」と断じています。