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2012年2月14日(火)

縮む日本経済

雇用者報酬34兆円減/輸出20兆円減

消費税増税で底抜ける

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 内閣府が13日発表した2011年10〜12月期の国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は、年率換算で2・3%減、2四半期ぶりマイナスとなりました。輸出の減少が原因。いよいよ輸出主導の成長が限界に達しました。 (金子豊弘、清水渡、柳澤哲哉)


■構造的な危機

 古川元久経済財政担当相は「海外経済が弱い回復を続ける中、タイ洪水の影響という一時的な要因が加わって、外需が大きく押し下げられた」とし、大幅な輸出減は一時的なものだとの認識を示しました。しかし、長引く歴史的円高や世界経済危機は、構造的要因によって引き起こされている問題です。

 11年の年間輸出(名目)は、前年比2・4%減の71兆円でした。08年のリーマン・ショック前の07年より20兆円減少しています。

■雇用壊し海外へ

 日本経済の低迷と世界経済危機を口実に、大企業は大リストラ攻勢をかけてきています。リーマン・ショック後、大規模な非正規切りを進めた自動車や電機など大手製造業は、国内雇用を破壊し、若者たちから仕事を奪いました。自ら国内経済を疲弊させておきながら、大手メーカーは今では、国内生産よりも海外生産を急拡大させています。

 トヨタ自動車は「需要のあるところで生産する」との方針の下、スポーツ用多目的車(SUV)「ハイランダー」の日本国内での生産を打ち切り、米国に集約する計画です。三菱自動車は、北米向け小型SUVの生産を今年夏、名古屋製作所から米国に移します。

 電機の職場で働く労働者でつくる電機労働者懇談会(電機懇)の調べによると、11年から12年にかけて、パナソニック、TDK、リコー、NECは大リストラ計画を進行中。4社合計で7万1000人にも上ります。

■物価長期に下落

 大企業による国内生産の切り捨て、リストラは国内需要をいっそう冷え込ませています。11年の雇用者報酬は、9兆円の国民負担増を強いられた1997年よりも34兆円も落ち込みました。11年の家計消費は276兆円と、前年比で1・1%減少しました。国内需要が落ち込む中で、物価は長期的に下落。総合的な物価の動向を示すGDPデフレーターは、9期連続で前年を下回っています。

■内需の強化こそ

 日本経済が悲鳴を上げているにもかかわらず、野田佳彦首相は、消費税率を10%に引き上げようとしています。

 今回の国民負担は、消費税10%への引き上げで13兆円、年金額の削減などを含めると年間16兆円です。さらに、年金、医療などの保険料引き上げによる負担増をあわせると年間20兆円もの負担増になります。

 多くの中小企業が経営難に陥り、地域経済が深刻な疲弊のもとにあるさなかでの大増税は、国民の暮らしと経済に計り知れない打撃を与え、日本経済をどん底に突き落としてしまいます。そして、そのことが税収減をもたらし、財政悪化をもたらす悪循環を引き起こしてしまいます。

 財界いいなりで消費税増税を進める野田政権では、経済も財政も底が抜けてしまいます。今こそ、消費税増税に頼らずに、社会保障を再生・拡充し、内需を温め、財政危機を打開する方向に転換するときです。

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