2012年2月14日(火)
きょうの潮流
消費税が所得の低い人ほど負担が重い不公平な税であることは、知られるようになりました。ところが日本の税金の不公平はそれにとどまりません▼所得が1億円を超えると所得税の負担率が逆に下がってしまうという不公平です。申告所得階層別に負担率をグラフにすると、山のいただきが1億円で負担率は26・5%でピークです。それ以上に所得があっても負担率が下がっていくのです▼そのからくりは所得税の最高税率が引き下げられたことや、株の取引や配当にかかる税金が本来の20%の半分、10%という低い水準だからです。後者は証券優遇税制です。どんな人たちがその恩恵にあずかっているのでしょう。全労連・労働総研編集の『2012年国民春闘白書』(学習の友社)に、「株式配当に対する減税の実例」というデータが載っています▼トヨタ自動車社長、京セラ名誉会長、セブン&アイ・ホールディングス名誉会長らの名前の横に、減税累計額が表にしてあります▼たとえばトヨタ社長は配当累計額が27億円。証券優遇税制による減税額が2・7億円です。消費税を毎日の食料品にも課税され、中小業者は販売価格に転嫁できずに身銭を切って払っているという庶民生活からは想像を超える減税額です▼志位和夫委員長は国会質問で「欧米ではだいたい30%です。日本の10%はあまりに異常きわまる低い水準です」(10日)とのべ、是正を首相に求めました。民主的な税制の原則に応能負担原則があります。これをその第一歩にしてもらいたい。