2012年2月14日(火)
主張
GDPマイナス
内需壊す消費税増税は中止を
内閣府が13日に発表した国内総生産(GDP)速報によると、昨年10〜12月期の実質経済成長率は年率で2・3%のマイナスとなりました。
内需は年率で0・2%増加し、かろうじてプラスを維持したものの、輸出が年率11・9%の大幅減少となったことが響いています。
輸出減少の一時的な要因になったタイの洪水被害の影響は解消に向かっています。しかし、世界経済危機による海外需要の低迷は長期化する見通しです。
増税計画が景気冷やす
債務危機に苦しむ欧州では景気の悪化が続いています。欧州向けの輸出が多い中国も生産減速の長期化が心配され、アメリカでは依然として大きな負債を抱える家計部門が低調です。
世界経済危機のもとで、これまでのような輸出依存の成長路線にはますます展望がありません。日本経済は大きな曲がり角にきています。ここ10年間に依存を強めてきた輸出頼みの成長路線から脱却し、内需主導の経済成長に根本から転換することが、いっそう切実になっています。
その転換の鍵を握っているのは内需の6割を占める家計消費と雇用の7割を占める中小企業です。国民の所得を増やして家計を温め、中小企業の仕事と利益を増やして安定した経営を取り戻すことなしには、今後の日本経済の展望を切り開くことはできません。
いま民主党政権が固執している消費税の10%への増税は、その家計と中小企業に破壊的な打撃を与えます。
内閣府が同時に発表した昨年1年間のGDP統計によると、雇用者所得は244兆円で、この5年間に10兆円も減少しています。1997年の消費税増税のときは、直前の5年間(92〜96年)に雇用者所得が253兆円から272兆円へ19兆円増える中での負担増でした。それでも日本経済が大不況に突き落とされた事実を考えるなら、所得が大きく減少している時期にさらに大きな負担増を強行すればどうなるかは火を見るよりも明らかです。
中小企業の大多数が消費税を価格に転嫁できずに身銭を切らされています。野田佳彦首相も枝野幸男経産相も10日の衆院予算委員会での日本共産党の志位和夫委員長の質問に、多くの中小企業が消費税を転嫁できていない実態を認めました。税率が5%から8%、10%に引き上げられたら、中小企業はとても持ちこたえることはできません。
まだ消費税増税は計画の段階です。しかし昨年12月の内閣府「景気ウオッチャー調査」は、すでに広範な地域で景気への悪影響が表れていることを示しました。「消費税の議論の行方が購買力を下げてしまっている」(南関東の乗用車販売店)、「消費税の増税や税負担の増加が予想されることから、客の財布のひもが固くなっている」(北海道のレストラン)―。1月の同調査でも増税への不安の広がりが浮き彫りになっています。
富裕層に応分の負担を
暮らしと経済の実態を見れば、消費税増税がいかに無謀な方針かが鮮明に浮かび上がってきます。
消費税の増税計画を直ちに中止し、大型公共事業や軍事費などのムダの一掃、富裕層と大企業に応分の負担を求める税制改革にいまこそ踏み出すべきです。