2012年2月5日(日)
野田首相 慶大で講演
就職難の根源 触れず
消費税 10%超も
野田佳彦首相は4日、東京・三田の慶応大学で学生ら250人を相手に講演し、消費税率を2015年10月に10%に引き上げるとした社会保障と税の一体改革に関し「年金制度の抜本改革、社会保障改革をやっていく中で消費税が増えていく可能性はある」と述べました。
税率10%では将来的に財源が不足するとの認識を、初めて明らかにしたもの。
民主党は昨年、最低保障年金を導入して新制度に完全に移行する75年度には、現在想定する消費税率10%に加え、最大で7・1%分が必要との試算をまとめています。
首相は一体改革について「私の政権の時に結論を出したい。今さえ良ければいいという政治をやっていくわけにはいかない」と述べ、野田政権で実現を期す考えを示しました。
公約破り 学生から批判
野田佳彦首相は慶応大での講演で、少子高齢化が進む将来の社会保障の財源を確保するために消費税増税は避けられないと強調し、「若い世代のみなさまにご理解いただきたい」などと求めました。
また、「せっかく大学に入っても、落ち着いて勉強する間もなく、キャンパスライフを楽しむ間もなく、すぐに就職活動をしなければならない」などと、就職難に直面する学生らに心を寄せているかのような口調で語り始めました。
ところが首相が示した対応策は、「もっと落ち着いて勉強できるよう、就職活動の時期をあとにできるよう、就職慣行を見直していく」というもの。派遣労働など不安定な非正規雇用など、就職難の根本原因を解消する実効策は一切示しませんでした。
一方で、「就活のライバルは慶大の仲間だけではなく、ニューヨークにも、北京にも、ソウルにも、デリーにも、サンパウロにもいる」などと、就活で世界のライバルと競うよう迫りました。
質疑応答では、学生から、2009年総選挙のマニフェスト(政権公約)で民主党が明記しなかった消費税増税に関連し、「マニフェスト順守の責任が問われる」との厳しい声が上がりました。
野田首相は、「おわびもしなければいけないし、申し訳ない」と謝罪しつつ、「民主党代表選挙では私は(増税を)明確にいっている」などの詭弁(きべん)で切り抜けました。