2012年2月5日(日)
玄海町長視察に九電密着
仏施設へ原発所長ら同行
プルサーマル導入時 技術説明を補助
九州電力玄海原子力発電所が立地する佐賀県玄海町の岸本英雄町長と町議による海外視察に、同発電所の所長らが同行していたことが4日、本紙の調べで判明しました。九電社員が同行した視察は、少なくとも2回、プルサーマル導入の時期に行われました。原発立地自治体の首長と電力会社との密着ぶりに批判が集まりそうです。
九電社員が随行した海外視察は、本紙が入手した視察報告書と関係者の証言でわかりました。
判明した二つの海外視察は(1)岸本町長と町議会副議長らのヨーロッパのMOX燃料工場などの見学(2007年4月25日〜5月3日)(2)岸本町長と玄海町議全12人が参加した中国の泰山原子力発電所などをめぐるもの(08年10月20日〜23日。当時、日本共産党の議員はいませんでした)。
関係者の証言などによると、ヨーロッパ視察には、玄海原発の諸岡雅俊所長(当時。後に同社原子力発電本部長)と今村博信次長(同。後に川内原発所長)の2人の発電所幹部が随行。九電側も本紙の取材に両氏の同行を認めました。
諸岡氏は、古川康佐賀県知事と昨年6月に知事公舎で会談をした人物。ここでのやりとりが「やらせメール」の発端とされています。
この視察では、九電が玄海原発3号機で09年に始めることになったプルサーマル発電の燃料加工を請け負ったフランスのメロックス工場や、スイスの放射性廃棄物の中間貯蔵施設などをめぐりました。メロックス工場には九電社員が駐在しています。
関係者は、「町長らと九電側とは行き帰りの飛行機も一緒だったと聞いた」と証言します。
中国視察について、九電は「発電所と本店の社員が同行した」とのべ、玄海町は「両視察での同行は事実。当時の所長や課長といった役職者の方が参加したと聞いている」としています。
同行の経緯について、玄海町は「海外の原子力施設見学の手続き上、電力会社の同行が必要だったため、町の方から九電に要請をした」と説明。九電は「専門的な話の理解をより深めるために補助者として同行した。問題とは考えていない」としています。
安全検証になるのか
日本共産党の藤浦晧(あきら)玄海町議の話 視察については、ある町議が議会で「こういう研修のあり方でいいのか」と苦言を呈したことがありました。今回の視察についても、プルサーマル導入への流れの中で、町と九電による綿密な打ち合わせの元に行ったものなのでしょう。
九電を介しての視察で、原発の安全性を調べることなどできないことは明らかです。
MOX燃料 原発から出た使用済み核燃料を再処理し、取り出したプルトニウムにウランを混ぜた混合酸化物(MOX)燃料です。通常の原発で行うプルサーマル発電に使います。日本では、これまで使用済み燃料のほとんどを、フランスとイギリスの企業に委託し再処理していました。
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