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2012年2月2日(木)

制作・出演は国交省 塩川議員が明らかに

八ツ場ダム “建設先にありき”の茶番

4人の出向者が議論リード

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 八ツ場(やんば)ダムの建設再開にゴーサインを出した“茶番劇”の制作、出演は国土交通省だった―。1日、衆院予算委員会で日本共産党の塩川鉄也議員が明らかにした同ダム検証会議の顔ぶれ。“建設先にありき”だった会議の中身を見てみると…。(矢野昌弘)


 八ツ場ダム建設の是非を“予断なき検証”をしようと2010年10月から国土交通省関東地方整備局が開いた「検討の場」幹事会。

 幹事会のメンバーには、同ダム事業に参加する1都5県(東京、埼玉、群馬、千葉、茨城、栃木)の関係部長13人が名を連ねました。

 塩川議員の調査で、このうち群馬、千葉、茨城の3県4人の部長が国交省からの出向者(表参照)だったことが判明しました。自治体の代表として、検証する側の参加者が、国交省の“身内”だったことになります。

 全10回の幹事会の議事録を見ると、国交省出向者が同ダム建設を強硬に主張したことがわかります。

 第1回の会議では、群馬県の川滝弘之県土整備部長が「完了が間近な段階の事業なんです。これから検証するのは、どうもなじまない」とかみつけば、茨城県の進藤崇土木部長も「なるべく早く結論を出して、速やかに対策を」と畳みかけます。

 第3回では、千葉県の橋場克司県土整備部長が「検証でダム建設が明らかになった場合には、速やかに本体工事に着手して」と、早期の再開を促します。

 一方の国交省側は、第4回会議で同ダムに代わる対案を提示。静岡県を流れる富士川の水を埼玉県の利根川流域までパイプでつなぐなど、とんでもない案が並びます。

 この対案に、国交省の出向者らが「とてもできると思えないような案をいちいち真面目にやるのはやめて」(茨城県の榊真一企画部長)の大合唱。4回目にして、すでに同ダム“優位”で固まります。

 こうした議論の中で、検証のそもそもの出発点となった首都圏の水余りの現状や八ツ場ダムの治水効果の薄さなどは議題にのぼらずじまい。

 そして、同ダム継続を結論づけた第10回の幹事会。出向者たちが「(継続は)当然の結果」とのべる中、検証は幕を閉じました。

 この会議を傍聴し続けた嶋津暉之さん(水源連共同代表)は「『早くつくれ』という発言ばかりの会議だった。『関係都県の意見を聞く』という場だったが、実態は国交省と一体の組織で、この会議の茶番ぶりは明らか」と話します。

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