2012年2月2日(木)
主張
沖縄防衛局長講話
国家の選挙介入は重大な犯罪
防衛省の沖縄防衛局が、5日告示の宜野湾(ぎのわん)市長選挙に向け、市内に選挙権がある職員や親族が住む職員の名簿を作成させたうえ対象者を集めて真部朗(まなべろう)局長が「講話」までしていたことが、衆院予算委員会での日本共産党の赤嶺政賢議員の追及で明らかになりました。
防衛省は沖縄に職員を派遣して1日朝の予算委理事会に報告するとともに、「特定の候補者を支持するものでなかった」などと言い訳していますが、国家の選挙介入は重大な犯罪です。真部局長を予算委へ出席させるなど全容を解明するとともに、局長や防衛相の責任を明確にすべきです。
組織的で悪質な介入
赤嶺議員が1月31日の予算委で、沖縄防衛局総務部総務課人事係が各部の庶務担当者宛てに出したメールという動かぬ証拠を突きつけて追及したように、沖縄防衛局での選挙介入は組織的で悪質なものです。メールの1通目は宜野湾市に在住する職員と「家族、いとこ、親戚」が在住する職員の名簿を作成するよう求めています。2通目は該当する職員を集め、沖縄防衛局長が「講話」を行うことを指示しています。講話は実際に1月23、24の両日、勤務時間中に行われました。防衛省の調査では名簿には80人がリストアップされ、68人が「講話」を聞きました。
沖縄防衛局が本人や親族が在住する職員の名簿を作り局長が自ら「講話」することにしたのは、5日告示の市長選挙を有利にするためなのは明白です。沖縄防衛局という国家機関が選挙に介入し、局長という立場で職員の投票行動に影響を及ぼそうとするのは、投票の自由を保障した憲法や公務員の地位利用を禁止した公職選挙法に違反する重大な犯罪です。
予算委理事会での防衛省の報告は「特定の候補者を支持するような内容は確認されなかった」としていますが、沖縄での米軍新基地建設を推進している沖縄防衛局が、新基地建設が重大な争点となっている市長選に関連し、組織的に名簿を作成し、投票を呼びかけること自体が大問題です。告示直前の「講話」が一般的な「啓発」で、選挙の投票とは関係ないと受け取る職員はまずいません。局長はもちろん、指揮・監督責任がある防衛相の責任も重大です。
防衛省と沖縄防衛局(当時は防衛庁と那覇防衛施設局)には“前歴”があります。名護市で1997年に新基地建設の是非を問う住民投票が行われた際、当時の防衛庁長官は沖縄駐留の自衛隊員に賛成票の獲得を求め、防衛施設局の職員が勤務中全戸訪問などを行いました。真部局長は今回以外にも「講話」を行ったことがあると認めました。隊員・職員の政治的自由を踏みにじり国民の最も重要な権利である選挙に介入する防衛省の体質は根深いものがあります。
新基地への暴走許さず
明らかになった沖縄防衛局での異常な選挙介入は、アメリカにいわれるまま、沖縄での新基地建設を進める民主党政権の「暴走」ぶりを示すものとしても重大です。
宜野湾市長選挙では、日本共産党などが推す伊波(いは)洋一前市長が、普天間基地の即時撤去と新基地建設反対を主張して立候補します。伊波候補の勝利が、新基地の押し付けと防衛省の不当な選挙介入に対する県民・市民の断固とした回答として、いよいよ重要です。