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2012年1月31日(火)

都教委批判理由に採用不合格

三鷹高元校長の訴え棄却

東京地裁

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 職員会議での挙手・採決禁止など東京都教育委員会の学校現場への管理を批判した都立三鷹高校の土肥信雄元校長(63)が、定年退職後の非常勤教員としての採用を不合格にされたのは不当だとして、都を相手に損害賠償を求めた訴訟の判決が30日、東京地裁でありました。古久保正人裁判長は、「元校長が意見を表明する自由はあるが、それらの言動を踏まえて都教委が(不合格の)評価をすることは、裁量権を超えた不合理な評価とはいえない」として、請求を棄却しました。土肥元校長は控訴する意向です。

 古久保裁判長は、都教委が職員会議での挙手・採決を禁止する通知を出したことについて「必要性がなかったとはいえない」と判断。元校長が違法だと主張した業績評価についての都教委の指導についても、「許容される」としました。

 その上で、通知や指導を批判した元校長の言動について都教委が「組織の一員としての立場をわきまえず、他者からの説明を理解しようともしないばかりか、組織への協力・協調の姿勢も見られない」などと評価したことを不合理ではないとしました。

 土肥元校長は現職校長当時、「挙手・採択禁止によって教職員の間に自由な討論がなくなっている」として禁止通知の撤回を要求。都教委に公開討論を求めるなどしました。また、教職員への業績評価で、都教委が「C・Dの評価は20%以上出すように」と各校長を指導したことは、「業績評価は絶対評価で行う」とした実施要領に反する違法行為だと批判しました。

教員の自由認めぬ判決

原告・弁護士らが批判

 都教委の言論の自由を奪う指導を告発し、東京都に損害賠償を求めた裁判で請求を棄却された都立三鷹高校の土肥信雄元校長は30日、都内で記者会見を行いました。

 支援者らへの感謝の言葉から切り出した土肥氏は「教師として生徒にうそをついてはいけないと教えてきました。判決は、子どもに教えたことが間違いだったということになる。これを許すことはできない」と、都教委が事実をわい曲してきたことを批判しました。

 吉峯啓晴弁護士は、現在も大学で講師をする土肥氏が生徒と同僚から高い評価を受けている事実を話し「裁判所が前任校での実践を調べないというのは司法の役割を放棄したものだ。都教委に都合のいい人だけを採用する基準でいいのか」と批判。一方で、都教委の挙手・採決禁止通知に対しては裁判所も「議論があり得る」とせざるをえなかったことを指摘しました。

 浪本勝年立正大学教授は「校長の裁量権と教員の自由を認めない判決。校長は教育行政の言い分を全て聞けということだ」と批判しました。

 三鷹高校卒業生の男性(22)は、「先生はこれまで自分で言ってきた“言論の自由”を貫いた。この判決で生徒たちもさらに立ち上がる」と決意を話しました。


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