2012年1月29日(日)
みんなの党 橋下氏との連携で浮上狙うが…
「改革」装っても古い政治見抜かれる
橋下徹大阪市長率いる「大阪維新の会」との政策的一致を前面に押しだし、連携を強く打ち出したみんなの党の第2回党大会―。参加者全員で「君が代」を斉唱するという異様な幕開けで始まり、渡辺喜美代表はあいさつで、「(「維新の会」と)アジェンダ(政策課題)が同じだ。一緒に行動するのが当たり前だ」とあいさつしました。
「政党横断的に改革派を糾合する『触媒政党』」(結党宣言)と自らを規定し、自民・民主からの脱党を歓迎するとしてきましたが、「二大政党」への不信が強まるもとでも同調者は増えていません。思うように糾合が進まないなかで、“橋下人気”をテコに再浮上しようという思惑が見えます。
大会の壇上で、渡辺代表は、「大阪都構想」実現のための「地方自治法改正案」などについて、「各党に共同提案を呼びかけ、誰が同調してくれるのか、誰が敵なのか。これをはっきりさせる」と気勢を上げました。まるで「維新の会」の代理人のようです。
両党の共通項には、「君が代」斉唱に見られる右翼的体質と「構造改革」路線が浮かび上がります。みんなの党は、「維新の会」の「大阪都構想」や、教育現場での処分の脅しで知事への絶対服従を迫る「教育基本条例」についてもろ手を挙げて賛成しています。
「大阪都構想」は、大阪市役所がもっている力・権限・お金をむしりとり、一人の指揮官に集中させることが狙いです。「都構想」の実現には、現行地方自治法の改定が必要。渡辺代表は「中央集権という統治構造のゆがみをただす」ために「国会で後押しする」としています。
みんなの党は、「経済成長優先」「脱官僚」「地域主権型道州制」など、貧困と格差を広げて国民の審判を受けた「構造改革」路線の継続を基本路線としています。
民間の給与が下がりひっ迫する国民生活には何らの痛みも感じず、公務員の「民間なみのリストラ」=人件費2割カットや国家公務員の10万人削減を押し付けることが、同党の主張する「増税の前にやるべきこと」の中身です。一方で、労働者派遣法の改正には頑強に反対しています。この点でも、公務員を「敵」に仕立て、「改革」を装う橋下「維新の会」との共通項がみられます。
みんなの党は、「自由主義経済・自由貿易」を志向し、環太平洋連携協定(TPP)に「交渉参加すべきだ」といち早く表明しました。大会でも浅尾慶一郎政調会長は、農業者や医療関係者の怒りの声に向き合うことなく、「日本のなかにただ一つ、TPPに賛成だと決めている一枚岩の政党だ」と胸を張りました。「見せかけの郵政改革ではなく本当の郵政改革をして、株式を売却して本当の財源をつくっていく」と郵政民営化の“完結”も唱えました。
国民がノーの審判を突きつけた「構造改革」にしがみつく限り、いくら「改革」を装っても古い政治だと見抜かれるでしょう。 (竹原東吾)