2012年1月29日(日)
主張
田中防衛相発言
沖縄県民愚ろうの度が過ぎる
田中直紀防衛相の沖縄県民無視の一連の発言と、それにたいして野田佳彦首相が任命責任を果たさない態度が大きな問題になっています。
田中防衛相は27日、パネッタ米国防長官と電話会談をおこない、沖縄の米軍普天間基地を同県名護市辺野古沿岸部に「移設」する日米合意の実現にさらに努力することを約束しました。沖縄県民の苦しみもわからず問題発言をくりかえす防衛相が、県民の反対を無視して新基地建設を押し付けるのは、絶対に許されません。
「痛み」がわからない
田中防衛相は22、23両日の沖縄訪問時に伊江島を「硫黄島」といい間違えるなど、県民の気持ちを逆なでする発言を重ねています。とりわけ重大なのは、普天間基地の米軍ヘリが宜野湾市民を騒音や事故の恐怖で苦しめている実態を無視した暴言です。
普天間基地は宜野湾市のど真ん中を占拠した、米国防長官ですら「世界一危険」とのべた危ない基地です。地上からパイロットの顔が識別できるほどの低空で旋回訓練をくりかえすため、墜落の危険と爆音被害は特別深刻です。
その最たる事例が基地の北側にある普天間第二小学校です。1時間に何度も米軍機が飛び交い、そのつど授業の中断を余儀なくされているのが実態です。「何とかしてほしい」と学校側がくりかえし訴えても米軍側は無視して、傍若無人な飛行を続けています。
ところが田中防衛相は普天間基地を視察したさい、小学校の上空近くを飛ぶのは「そんなに多いわけじゃないんでしょう」とのべたのです。県民の基地の痛みの実態をあまりにも知らなさすぎる発言です。県民を愚ろうするにもほどがあると地元から怒りが広がったのは当然です。こんな認識で「基地をなくせ」の県民の願いをふみにじるのは許されません。
田中防衛相は、普天間基地を名護市辺野古に「移設」し、新基地を建設する問題でも、就任直後の記者会見で「着工が年内にできるかどうか、当面の手順になっている」とのべました。あとで釈明しましたが、これも沖縄県民の怒りがわかっていない証拠です。
沖縄防衛局が新基地建設に向けた環境影響評価書を年末ぎりぎりになって、午前4時に県庁の守衛室に持ち込んだやり方にも県民の反発が噴出しています。評価書に対する沖縄県知事の意見書もでていないのに、「着工」にまで言及すれば怒りを広げるということもわからない防衛相では、「県民の理解を」といっても相手にされるわけがありません。これでは「年内着工」どころか辺野古埋め立て申請にさえ進めないのは当然です。
日米安保を廃棄してこそ
民主党政権がアメリカいいなりに普天間基地の「辺野古移設」を進めるのは、2009年の総選挙で国民に約束した普天間基地の「国外・県外」の公約に違反しており、そもそも許されないことです。公約に違反し、暴走をくりかえす民主党政権はもはや政権担当能力を失っています。アメリカいいなりでは基地問題を解決できないことは明らかです。
新基地建設を断念し、普天間基地の即時撤去を実現するとともに、日米安保条約を廃棄し、対等・平等・友好の日米関係へ転換していくことがいよいよ重要です。