2012年1月29日(日)
大阪教育条例 壇上 会場からも「廃案に」
教師・子ども・父母の信頼壊す
シンポに800人参加
橋下徹大阪市長率いる「維新の会」が大阪府議会に提出した教育基本条例案に反対するシンポジウムが28日、大阪府守口市で開かれ、会場のロビーにまであふれる800人が参加しました。主催は、東京大学の佐藤学教授ら、条例案に反対する学者・文化人アピールの呼びかけ人。「大阪の条例案は全国に悪影響をおよぼす」と大阪入りし、訴えました。
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佐藤氏は「教師、子ども、保護者らの信頼関係がなければ教育は成立しない。それを破壊する条例は決して許してはならない」と強調。「君が代」の起立斉唱の職務命令に違反した東京の教員の停職・減給処分を取り消した最高裁判決にふれ「条例案の違法性は明らか。たたかって廃案に持ち込もう」と呼びかけました。
前大阪市教育委員会委員長の池田知隆氏は、困難を抱える教育現場をどう支援するかが大事だと指摘。「すべてを教師のせいにしてしりをたたけば学力が上がるというのは問題です」とのべました。
前京都女子大学教授の前田佐和子氏は、韓国ソウル市の子どもの人権を尊重する教育基本条例を紹介し、「大阪の条例が矛盾を解決するとは思えない。世界で生きていく人を育てられるとは思えません」と語りました。
関西学院大学教授の野田正彰氏は、「子どもから恐怖を取り除き、関心を自然や社会に向けさせるのが教育の役割。条例案は子どもに恐怖を植え付けるものです」と話しました。
教師や若者ら、条例案に反対する人々が壇上で発言。会場からは拍手と「そうだ」の声が飛び交いました。
アピール賛同者で精神科医の香山リカ氏がかけつけ、「教育はすぐに結果が出るものではないのに、企業経営などと同じものさしで見る条例案に、怒りというより驚きを感じました」と語りました。
20代女性の小学校教師は「私も人として接するからこそ子どもが成長し、保護者も預けてくれるのだと思います。条例で抑えつけられたら私らしさを出せなくなると思います」と話しました。
映画監督の山田洋次氏、脚本家の小山内美江子氏、前大阪市長の平松邦夫氏のメッセージが紹介されました。