2012年1月26日(木)
玄海町長が官官接待 エネ庁職員らに30回
原発推進派 この癒着ぶり
九州電力玄海原子力発電所がある佐賀県玄海町の岸本英雄町長が町長交際費を使い、判明しただけでも経済産業省資源エネルギー庁と佐賀県などの職員を5年余で30回、約106万円分の“官官接待”をしていたことがわかりました。岸本町長は、多額の原発関連事業を請け負っている実弟が経営する「岸本組」の大株主。原発をめぐる各地のシンポジウムで「やらせ」を指示、誘導してきたエネ庁職員らとの公金を使った会食は“原発利益共同体”の癒着の深さを浮き彫りにするものです。
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岸本町長による“官官接待”は、本紙が入手した町長交際費の支出記録で判明しました。
これによると、岸本氏が町長に就任した2006年度から11年度途中までの5年余で、佐賀県職員を18回、エネ庁職員を11回、内閣府原子力委員会の近藤駿介委員長と昼食を1回の計30回にのぼる接待をしていました。
とくにエネ庁職員との接待は、昨年の東電福島第1原発事故後だけで4回。このうち3回は、玄海原発2・3号機の再稼働の動きが浮上した4、5月に玄海町内の和食料理店などで接待をしていました。
07年6月には、エネ庁とみられる中央省庁の参事官と、岸本町長と財政企画課長の3人で東京都千代田区内の高級中華料理店で4万円を支出しています。
「原子力関係交付金事業等の打ち合わせ」として、09年8月には中央区銀座の佐賀牛のステーキ店で佐賀県職員と6人で4万円を支出。07年にも銀座にある別の佐賀牛料理店で、「企業誘致懇談会」と称して岸本町長と佐賀県の東京の出先機関の職員ら3人で8万8210円の飲食をしていました。
国家公務員倫理法では、利害関係者からの贈与を禁止しているほか、国民から疑惑や不信をもたれる行為の防止もうたっており、この“官官接待”はこれに抵触する恐れがあります。
また、町長交際費から飲食代を支出することは地方財政法の趣旨からは不適切とする見解が一般的。支出のやり方自体も不適切だったといえます。
玄海町は、国から「電源三法交付金」の給付を受けており、その交付金による公共工事を岸本組が多数受注しています。
佐賀県は、この“官官接待”について内部の聞き取り調査を行い20日、「状況からやむを得ないと認められる」などとした調査結果を公表し、職員の処分はありませんでした。経済産業省は「調査中」としています。
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