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2012年1月25日(水)

EUがイラン原油禁輸

外相理事会 7月から全面実施

米国は歓迎・ロシアが懸念

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 欧州連合(EU)は23日、ブリュッセルで開いた外相理事会で、核開発を続けるイランに対する圧力を強めるとして、同国産原油の輸入禁止を正式決定しました。債務危機の影響を考慮して、既存の契約に基づく輸入については移行期間を設け、7月1日から全面禁止します。


 理事会はまた、イラン中央銀行がEU諸国内に持つ資産の凍結や、ダイヤモンド、金など貴金属取引の禁止なども決めました。

 アシュトン外交安全保障上級代表(EU外相)は会議に先立ち、「これらの制裁措置による圧力が交渉に実を結ぶことを望んでいる」と語りました。

 これに対し、イラン側は、原油輸出の要衝であるホルムズ海峡を封鎖して報復するとしています。イラン外務省報道官は23日、「経済制裁は不合理、不公平だ」と反発しました。

 オバマ米大統領は同日発表した声明で、EUの決定を歓迎。「イランの核計画が突き付ける深刻な脅威に、国際社会が結束して対処していることを改めて示した」と述べました。

 英国のキャメロン首相、ドイツのメルケル首相、フランスのサルコジ大統領は同日、共同声明を出し、イランに対して核開発の即時停止を要求。イランが交渉に戻るまで、「われわれは結束して強力な措置を講じていく」と強調しました。

 イランに対し強硬姿勢を示しているイスラエルのネタニヤフ首相も同日、EUの決定を歓迎しました。

 一方、ロシア外務省は同日、声明で「(EUの決定は)全く誤った方針だ。こうした圧力をかければ、イランはいかなる譲歩にも(政策の)変更にも合意しないだろう」と懸念を表明しました。


解説

対立強める欧米諸国

 イラン産原油の約18%を輸入する欧州連合(EU)が23日、独自制裁を続ける米国に同調するかたちで同国産原油の輸入禁止に踏み切りました。イランと欧米との対立がエスカレートしています。

 これまで国連安保理はイランに対し、4度に及ぶ制裁を決議してきましたが、昨年11月、同国の核開発疑惑に「深い懸念」を表明する決議が採択されたことで事態は急展開しました。

 しかし、この決議の根拠となった報告書には、国際原子力機関(IAEA)最大勢力の非同盟諸国グループから情報の信ぴょう性について懸念の声が上がり、「疑惑の根拠が示されていない」「イランの反証が含まれていない」などと不満が出ています。

 軍事力もちらつかせてイランへの圧力を強める欧米に対し、中ロは外交による解決を主張。原油の約13%をイランに依存するインドも17日、「イランから原油を買い続ける」と表明しています。

 米国などの原油輸入禁止の制裁圧力に対し、イランは昨年末、世界の海上輸送原油の約33%が通過するホルムズ海峡の封鎖に言及。それに対し、ペルシャ湾内の島国バーレーンに司令部を置く米海軍第5艦隊報道官はすぐさま、「航行の自由を確保するため、悪意ある行動に対抗する準備はできている」と警告し、緊張が高まっていました。

 イランは29日からIAEAの調査団を受け入れることを表明しています。しかし最近稼働を始めた、テヘランから約120キロ南方のコム近郊にある地下ウラン濃縮施設がその対象に含まれるかどうかは不透明です。

 22日には米空母エーブラハム・リンカーンがペルシャ湾に入り、英仏艦艇もそれに随伴。イランも来月、ペルシャ湾での軍事訓練を計画しています。 (野村説)


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