2012年1月25日(水)
きょうの潮流
「この美しいふるさとを未来に」「日本再生元年」「長い長い『歴史のたすき』を継ぎ…」「大きな政治」…▼野田首相の、施政方針の演説から拾いました。相も変わらず、人の気をひこうとする言葉を惜しみなくばらまいています。決め言葉は、「決断する政治」です。「決められない政治」から「決断する政治」へ▼首相によれば、いちばん求められている「決断」は消費税の大増税です。しかし、いくら政府が「社会保障のためだ」と宣伝しても、増税に反対する人はふえるばかり。「毎日」の調べでも、6割に達します▼そこで多数の意見を切り捨て、自分たちの意見をむりやり通す。それを「決断」「大きな政治」と称して胸をはる。なんと逆立ちした政治の風景でしょう。1947年に文部省が出した『あたらしい憲法のはなし』は、こう解説しています▼「国民ぜんたいの意見で、国を治めてゆく…民主主義の治めかたです」「みんなの意見で物事をきめてゆくのが、いちばんまちがいがすくないのです。だから民主主義で国を治めてゆけば、みなさんは幸福になり、また国もさかえてゆくでしょう」。政治の原点、初心です▼野田首相は、「全ての国民を代表する国会議員の皆様。志を立てた初心に立ち返ろう」とよびかけ、大増税に協力する「決断」を迫りました。国民の多数と国会の多数で、意見がねじれる場合もあります。しかし、「国民の代表」なら民意を重んじるはずですが、首相らの「初心」に「民主主義」はないらしい。