2012年1月24日(火)
シリーズ 比例80削減の危険
議員は国民とのパイプ
世界に比べ多くない
定数削減が必要だという人のなかには、日本の国会議員の数が多すぎると思っている人もいます。はたして本当でしょうか。
たとえば、アメリカは上院100、下院435で計535議席。一方、日本は衆議院480、参議院242の計722議席です。単純に人口で比較すると、日本は人口10万人当たりの国会議席数が0・56、アメリカは同0・17で、たしかに日本の方が多いといえます。
しかし、アメリカは50州などからなる連邦国家で、州は独自の法律(州法)、軍、警察を持つなど強い権限を維持しています。各州のほとんどが上下両院からなる議会をもっており、州議会を考慮に入れれば、決して日本の国会議員が多いとはいえません。
諸外国と比べても日本の国会議員は少ない分類に入ります(図)。
たとえば、イタリアは上院321議席、下院は630議席で人口10万人当たり1・57で日本を上回ります。
また、歴史的にみても国会議員数が多いとはいえません。公職選挙法が制定された1950年の衆院定数は466議席、参院定数は252議席で人口10万人当たりの国会議席数は0・85と現在よりも高水準。その後も人口が増加するのに従い、衆院の議席数は増やされ、512まで増加しました。
ところが、90年代に入って大政党有利な選挙制度につくり変えられる過程で、定数も大幅に削減されて500に、2010年には比例定数が20削られて480になっています。
国会議員数が多いという批判の背景には、「働きの悪い国会議員が多すぎる」との不満もありますが、議員定数と議員の質はまったく別の性格の問題です。ましてや国会議員は、国民と国会を結ぶパイプとしての役割を発揮しなければならず、国会の立法機能を保障するためにも、十分な議員定数の確保という観点が必要です。
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