2012年1月24日(火)
賃上げ「論外」と拒否 内部留保には触れず
経団連が春闘対策方針 経労委報告
日本経団連は23日、経営側の2012年春闘方針である経営労働政策委員会報告「危機を乗り越え、労使で成長の道を切り拓く」を発表しました。「激化するグローバル競争に勝ち抜く企業づくり」を声高に主張し、労働者の賃上げについては「ベースアップの実施は論外」と拒否。1%の賃上げを求める連合の低額要求すら「企業の危機的な経営環境に対する認識が甘い」と切り捨てています。
毎年、自動的に昇給する仕組みである定期昇給について「実施を当然視できなくなっている」として「延期・凍結も含め、厳しい交渉を行わざるを得ない」と主張。賃金の個別化を図り、「仕事・役割・貢献度を基軸とした人事・賃金制度を構築する」とし、正規労働者に対する賃下げにふみこもうとするねらいを語っています。
賞与・一時金(ボーナス)も、個人ごとの業績で差を広げる「個別化」をとなえています。
資本金10億円以上の大企業は内部留保を266兆円(全労連・労働総研調べ)もため込んでいますが、今回、巨額の内部留保について一言もふれなくなりました。
この10年で、労働者の年収は約50万円も下がる一方、同じ期間に大企業は内部留保を90兆円も積み増ししています。日本経済が「重大な岐路」にあるとか、「企業活動は一層の危機的状況」などと目いっぱい危機感をあおっていながら、企業が利益をため込んで大繁栄している事実とのつじつま合わせができなかったものとみられています。
労働者の3分の1を占める非正規雇用労働者の処遇改善では、「雇用の減少をまねきかねず不適当」と、貧困と格差の解消に背をむけています。 (関連記事)