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2012年1月23日(月)

主張

「JAXA法」改悪

宇宙の軍事利用拡大をやめよ

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 政府は、独立法人宇宙航空研究開発機構法(JAXA(ジャクサ)法)が宇宙開発を「平和の目的」に限定している規定を削除する方針です。そのための関連法案を今国会に提出する構えです。

 JAXA法から「平和の目的に限り」との規定を削除するのは、宇宙の軍事利用を禁じた法的歯止めを取り去ることによって、JAXAがもつ技術などを軍事政策に組み込むのが狙いです。戦争を放棄した憲法をもつ日本が宇宙の軍事利用を拡大して、戦争態勢づくりを強めるのを見過ごすわけにはいきません。

「平和目的」規定の削減

 JAXA法は、人工衛星の開発や打ち上げ、追跡などの業務を「平和の目的に限り」実施すると明記しています(第4条)。平和目的に限るとは軍事利用を禁止するということです。「平和目的」規定は憲法の平和原則を反映したものであり、守り抜くのは当然です。

 重大なのは、宇宙の軍事利用政策を拡大・強化するために、野田佳彦・民主党政権がJAXA法から「平和の目的に限る」規定を削除しようとしていることです。自公前政権時代に自民、公明、民主3党が強行した宇宙基本法にもとづいて、宇宙の軍事利用政策にJAXAを組み込むための企てです。野田政権が自公政権と変わらない危険な政権であることをうきぼりにするものです。

 政府の宇宙開発戦略専門調査会は13日公表した「宇宙空間の開発・利用の戦略的な推進体制について」と題する報告書で、「JAXA法の平和目的規定を宇宙基本法と整合的なものとする」とのべています。宇宙基本法は、宇宙開発は「平和目的に限る」とした国会決議も政府見解も投げ捨てて、軍事利用に道を開いた悪法です。JAXA法を宇宙基本法に合わせるというのは、JAXAの業務を「平和目的」から「軍事目的」に変えることです。これは重大問題です。

 実際、宇宙基本法をたてに防衛省・自衛隊は、民間の通信衛星の回線借り上げによる利用をやめ、民間の資金を活用するPFI方式で天候に左右されない軍事通信衛星を自前で保有することを決めました。通信衛星や偵察衛星などの軍事衛星保有はアメリカいいなりで日本が海外で戦争する態勢づくりです。それだけに「平和目的」の削除は許されません。

 政府の狙いは軍事衛星の開発にJAXAを参加させることであり、JAXAのロケットを使って軍事衛星を打ち上げることです。軍事衛星の追跡などの業務をJAXAに実施させる狙いもあります。「平和目的」規定を削除するのはそのためです。JAXAを組み込み宇宙の軍事利用をさらに加速する狙いが透けて見えます。

財界いいなりの暴走

 JAXA法の改悪は財界・兵器産業界の要求そのものです。経団連は昨年5月にだした「宇宙基本法に基づく宇宙開発利用の推進に向けた提言」で、JAXA法の「平和目的」規定が宇宙基本法の安全保障目的の宇宙利用規定と整合性がとれていないから、JAXA法を「改正」するよう求めています。幾種類もの軍事衛星を打ち上げて大もうけを図る財界・兵器産業の身勝手な要求です。

 財界いいなりにJAXAを宇宙軍拡に組み込むJAXA法の改悪は阻止することが重要です。


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