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2012年1月22日(日)

主張

「一体改悪」議論

「将来世代のため」は欺瞞(ぎまん)だ

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 野田佳彦内閣と民主党は「社会保障・税一体改革」を推進する大きな理由として、高齢化による社会保障費の増大などをあげ、「負担を将来世代に先送りしてはならない」と主張しています。あたかも将来世代の負担を軽減するかのような言い方です。しかし、消費税増税・社会保障削減の「一体改悪」は、将来世代にも容赦がありません。悪政を実行するために「将来世代のため」などと国民を欺くことは許されません。

「肩車」社会と脅す

 社会保障改悪と消費税の2倍化を同時に実行する「一体改悪」は全世代に負担を強います。消費税は、低年金に苦しむ高齢者も、不安定雇用が半数を超える若者たちも直撃します。現在の高齢者は年金支給額が大幅に削減されます。年金支給開始年齢の65歳からの引き上げは現役世代と将来世代に犠牲を押し付けます。保育制度改悪は子育て世代を脅かすものです。

 改悪された制度が将来に引き継がれるだけではありません。今後、「社会保障費が足りない」との口実で消費税増税が“雪だるま式”に拡大する危険があります。こんな国民犠牲の「一体改悪」を、子や孫、生まれてくる世代のためだというのは詭(き)弁(べん)です。

 政府は、65歳以上のお年寄り世代1人に対する現役世代(15〜64歳)の人数変化を示し、現在現役世代3人でお年寄りを支える「騎馬戦」型社会が、2050年はお年寄り1人を1・2人が支える「肩車」型社会になるとして「一体改悪」を正当化しています。しかし、子育て世代を苦境に追い込む「一体改悪」の推進は、将来世代の人口をますます減少させることになりかねません。将来世代のことを考えるなら、子どもを産み、育てることが困難な現状の打開こそが急務です。そのために社会保障を充実させ、暮らしと経済を破壊する消費税に頼らない財源を生み出す必要があります。

 同世代内の人でも経済力の違いがあり、ひとくくりにできません。65歳以上世代にも働く「支え手」がいます。政府の説明には、大企業や高額所得者に応分の負担を求めるという考えもありません。少子化を前提にした推計数字を「脅し」に使い、「一体改悪」を国民にのませようとするのは邪道です。

 政府・与党の「一体改革」素案は、人口構成の変化などで社会保障制度に「ほころび」が生じたなどとして、「高齢化」が社会保障制度を壊しているかのように記述しています。しかし、社会保障を連続改悪し、「皆保険・皆年金」の根幹を破壊してきたのは歴代政権です。その責任を不問にし、国民に負担を強いるなど論外です。

 現行制度で、高齢者は「得」で、将来世代は「損」しているというのは「世代間対立」をことさらあおる暴論です。将来世代が負担増になり、給付減になるのは制度改悪の結果であり、増税の根拠には、まったくなりません。

全世代安心の社会を

 社会保障でいま必要なのは、どの世代も安心できる制度の構築です。高齢者を「お荷物扱い」する議論は間違いです。軍事費や不要不急の大型公共事業費などの無駄をなくし、大企業・大資産家に応分の負担を求めて財源を確保し、段階的に社会保障制度を拡充する道に踏み出すことこそが「未来へ向けた改革」です。


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