2012年1月21日(土)
福島第1非常用電源 未接続放置
責任、押し付け
保安院 工事内容までは…
東電 緊急性低いと認識
東京電力が福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の原子炉データを国の「緊急時対策支援システム」(ERSS)に送信する機器の非常用電源が4カ月前から接続されず事故時も放置されていた問題で、当事者どうしが“責任の押し付け合い”をしています。
非常用電源に接続されていなかったのは、メディアコンバータ(MC)と呼ばれるもので、原発敷地内の東電の計算機から国のERSSへ送信する間の通信機器の一部。東電は19日の会見で、機器に非常用電源を接続しなかったのは、電源を接続する工事の際、「電源ケーブルの長さが足りなかった」からと説明し、そのまま放置したのは「緊急性が高いと思ってなかった」と述べていました。
問題の機器は同じ敷地内にある経済産業省原子力安全・保安院の検査官が詰める部屋に置かれています。工事には、ERSSの運用を同省から委託されている独立行政法人「原子力安全基盤機構」が立ち会い、検査官もいました。
東電の会見後、保安院が会見。「当日は原子力安全基盤機構が対応していた。検査官は工事をチェックする立場でなく、物がなくなっては困るので立ち会った」と述べて、工事内容を知らなかったとしています。
一方、保安院の会見に同席した同機構は、「(ケーブルが足りなかったのは)東電が違う場所を調査したのだろう」と指摘。工事当日に接続ができなかったのを知りながら、「フォローが足りなかった。当然、取り換えてくれるだろうなと思っていた」と釈明しました。
また、非常用電源の接続工事について、東電が「自主的な取り組み」と強調していたのに対し、機構側は「われわれが提案していた」としています。