2012年1月21日(土)
原発賠償に課税とは
「風評被害」や給与減損失への支払い
収入扱い、被災地困惑
東京電力福島第1原発事故の放射能被害に支払われる賠償金を、国税庁が課税対象としていることに対し、被災地からは「納得できない」と怒りと困惑の声があがりはじめています。
国税庁は精神的損害や避難費用などに対する賠償金は非課税としています。しかし、事業の避難指示での営業困難、「風評被害」による減収、出荷制限指示による損失に支払われるものは、事業所得などに関わる収入とみなされ、必要経費を控除した残額が課税対象になります。農漁業や製造業、サービス業など、あらゆる業種が対象になります。
また、就労ができないことによる給与などの減収に対する賠償金も、雇用主以外からの収入として一時所得の収入とみなされ、課税対象になります。
福島県は昨年7月、仮払金を含めた賠償金について、国税・地方税の課税対象の収入・所得とみなさないよう、立法措置も含めた特別扱いを政府に要望。農民運動全国連合会と福島県農民連も非課税措置を求める要望書を国に提出しています。
確定申告の時期を間近に控え、福島県の関連業界団体は、非課税措置を求めていく姿勢です。
“すずめの涙”なのに
佐藤松則福島県商工団体連合会事務局長の話 福島の商工業者は、仕事がしたくてもできない、戻りたくても戻れない状況が続いています。
生活基盤の再建が進んでいないのに、もともと“すずめの涙”しかない東電の賠償金に国が課税するのは、納得できません。業者から怒りと困惑の声が寄せられています。非課税にするよう、国に要望していくつもりです。