2012年1月21日(土)
フォークランド諸島領有問題
英首相「暴言」で再燃
【メキシコ市=菅原啓】英国とアルゼンチンがともに領有権を主張するフォークランド諸島(スペイン語名マルビナス諸島)をめぐる両国の対立が、キャメロン英首相の「暴言」をきっかけに再燃しています。
アルゼンチン 国連の仲介要求
キャメロン氏は18日、アルゼンチン政府による同諸島の返還要求を「これ以上の植民地主義はない」と発言。近く予定されているウィリアム王子の同諸島訪問に向けて、近海に英海軍を増派する計画を発表しました。
フォークランド諸島は1833年から英国が実効支配してきましたが、アルゼンチン側は自国領土であると主張。軍政下の1982年には派兵し、英国軍と衝突しました。90年に国交回復しますが、同諸島の領有権問題は棚上げされました。
国連では両国に話し合いによる解決を呼びかける決議を繰り返し採択。アルゼンチンのフェルナンデス政権は対話の開始を一貫して要求していますが、英国側は約3000人の住民の大多数が英国領にとどまることを望んでいるとして交渉を拒否しています。
英首相の発言について、アルゼンチンのブドゥ副大統領は19日、「不器用で無知なののしり」と反発。同国のティメルマン外相は、「英国こそが植民地主義と同義語だ」と指摘し、英首相は時間を無駄にせず「受話器をとって、潘基文(パン・ギムン)国連事務総長に電話すべきだ」と述べ、国連仲介による交渉を始めるよう改めて呼び掛けました。