2012年1月20日(金)
福島原発 非常用電源が未接続
事故4カ月前から 緊急時データ送れず
東京電力は19日、福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)の原子炉データを国の「緊急時対策支援システム」(ERSS)に送信する機器の非常用電源が、震災発生の4カ月前の工事の際に接続されず、そのまま放置していたことを明らかにしました。
ERSSは、国が原子炉の圧力や温度を監視し、施設の状態を判断、その後の事故の進展を予測するシステムです。非常用電源を使えなかったため、昨年3月11日の地震発生で外部電源が喪失した後から、国の防災通信網がダウンするまでの約2時間、福島第1原発のデータをERSSに送れませんでした。
東電の松本純一原子力・立地本部長代理は会見で「非常用電源の工事は緊急性が高いと思っていなかった」と述べました。
非常用電源に接続されていなかったのはメディアコンバータ(MC)と呼ばれる機器で、原発敷地内の免震重要棟にある計算機から国のERSSへ送信する間の通信機器の一部。発電所内の研修棟保安検査官室に設置されており、1号機から受電しています。東電によると、2010年11月に、それまで本店から福島第1、第2、柏崎刈羽の3原発のデータを一括してERSSにデータを送信していたシステムを、発電所ごとに国へ送信するシステムへ切り替える工事を実施していたといいます。その際、装置と非常用電源をつなぐケーブルの長さが足りないことが判明。松本氏は「ケーブルなどの再手配などが必要だったが、工事の時期を経済産業省原子力・保安院と調整していた」としています。