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2012年1月20日(金)

主張

イランの「核疑惑」

平和解決への粘り強い努力を

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 ウラン濃縮を進めるイランと、これを阻止しようとする米欧などとの対立が深まっています。米国による経済制裁の強化に反発するイランが、世界の海上輸送原油の3割近くが通過するホルムズ海峡を封鎖すると脅せば、米国は軍事力の行使を警告しています。

 非難の応酬がエスカレートし軍事衝突が起きれば、中東はもとより世界に大きな混乱をもたらします。イラン問題を平和的に解決すべきだとの立場は国際的に広く共有されており、各国はそのために努力すべきです。

原油の禁輸迫る米

 国際原子力機関(IAEA)は昨年11月、イランが起爆装置の開発を進めた疑いがあるなどと、核兵器開発の疑惑を指摘した報告を公表しました。米国はイランへの追加制裁として、イラン中央銀行と取引する各国銀行に制裁を科す内容の法律を制定し、各国にイラン産原油の禁輸を迫っています。

 イランはホルムズ海峡の封鎖を公言し、周辺海域で軍事演習や長距離ミサイルの発射実験を行いました。イランに代わって原油輸出を増やす国に、「敵対行為」とみなすとけん制しています。イランの鼻先にあるバーレーンに第5艦隊司令部を置く米国は、同海峡の封鎖を「越えてはならない一線」(パネッタ国防長官)と強調します。どの国であれ、航行の安全を脅かすことは許されません。

 イランの核開発疑惑が浮上して10年、イランはウラン濃縮を平和目的だとし、核兵器開発を否定しています。しかし、国連安保理やIAEA理事会の諸決議は、IAEAに十分な協力をしないままウラン濃縮を続けるイランの姿勢に強い懸念を示しています。

 イランには、IAEAとの協力で透明性を高め、平和利用だとする主張の正当性を示す責任があります。IAEAは今月中に調査団を派遣する予定で、イランも受け入れを表明しました。調査団は中部コム近郊の地下施設なども調査するとみられます。調査団が十分な成果をあげられるようにし、問題解決に向けて協力する姿勢を示すことが必要です。

 米国が国連の枠外で一方的に他国に禁輸を強制するのは不当であり、イランとの緊張を高め、問題の平和的解決を妨げることになります。交渉を通じた解決への粘り強い努力が何より重要です。2年前にトルコやブラジルがイランの製造した濃縮ウランの国外移送を提案し、いったんは合意に至ったように、新たな外交イニシアチブも求められます。

 中東非核化を前進させることも重要です。米国がイランを非難しながら、イランを敵視するイスラエルの核保有を容認するのは「二重基準」であり、中東での核兵器の拡散をかえって促進しかねません。2010年に開かれた核不拡散条約(NPT)の再検討会議は中東の非核化のための国際会議を今年開くと決めています。これを成功させることが必要です。

外交の自主性確保して

 日本政府にとっては、外交の自主性が求められる問題です。野田佳彦政権は、米国の要求を受け入れる姿勢を示しながら、国内銀行への制裁除外を要請しています。野田首相は「外交的、平和的解決」が日本の姿勢だとも述べています。政府はその言葉を生かす外交的取り組みこそ行うべきです。


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