2012年1月16日(月)
チュニジア「革命」1周年
民主国家へ決意新た
首都に数万人
【カイロ=小泉大介】チュニジアで独裁政権が「革命」によって打倒され、ベンアリ前大統領が亡命してから1周年となった14日、これを記念する集会が首都チュニスなどで開催され、多くの国民が民主的で自由な国づくりに向け決意を新たにしました。
現地からの報道によると、「革命」時に大規模デモが繰り返された首都中心部のブルギバ通りにはこの日、数万人が繰り出しました。外国来賓も見守るなか、国民は国旗を振りながら「さよなら独裁、こんにちは自由」「自由と尊厳のためにわれわれはたたかいつづけるぞ」などと唱和しました。
この日は昨年12月に新大統領に選出されたマルズーキ氏がテレビを通して国民に向け演説。「1月14日は暗い時代、独裁と腐敗の時代に終わりをしるした日だ」「チュニジア革命は輝く未来への扉を開いた。国民は自由に向けて歩みつづける」と表明しました。
国際会議出席のためにレバノン滞在中の潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は声明で、「チュニジア国民の勇気と行動は地域全体に響き渡り、多くの人々を励ました。人々は、正当な願いを知らしめるために声を上げることの勇気をそこに見いだした」とたたえました。
一方、「革命」を祝う多くの国民の間でも、約20%とされる失業率など経済情勢が改善しないことへの不安を訴える声も少なくありません。
チュニジア労働総同盟(UGTT)は14日にチュニスの本部前で独自の集会を開催。「私たちには多数の失業者の問題などまだ解決しなければならないさまざまな課題が残っている」として、引き続きたたかいを進めることの重要性を語り合いました。
マルズーキ大統領は14日、この日を国民の祝日とすることを宣言。さらに、9000人にのぼる政治犯に恩赦を与えるとともに、122人の死刑囚を無期懲役に減刑することも表明しました。
チュニジアでは2010年12月、中部シディブジッドの青年が無許可の露天商を理由に警察から暴行され、抗議の焼身自殺したことをきっかけにベンアリ政権に対する国民の怒りが爆発。大規模デモが連日続き、23年間続いた同政権を1カ月足らずで崩壊に追い込みました。