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2012年1月12日(木)

危険手当、上乗せ済み

原発下請け単価 東電が認める

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 東京電力は、福島第1原発事故の復旧・収束作業に従事する関連会社(下請け)などの作業員に支払う事実上の「危険手当」を契約単価に上乗せして見積もっていることを初めて認めました。日本共産党の渡辺博之いわき市議の問い合わせに東電本店が11日までに明らかにしました。


 東電の労務人事部は、「発注先に危険手当を『支払いなさい』という立場にない」としながらも、下請け契約見積もりで「通常の定期点検とはちがう相応の単価を見積もっている」と回答。事実上の危険手当に当たる部分を単価に含ませているとの認識を示しました。

 これまで東電は、下請け作業員の「危険手当」については「発注先の判断」としてきました。東電が通常分の契約単価(事故前)に特別単価を上乗せしていることを認めたのは初めてです。

 原発作業員の危険手当をめぐっては、「日立系列では出ているが、それ以外では一円も支払われていない」(熟練作業員)、「元請けに問い合わせたら、東電が何も言ってこないのでわからない、と言われた。職人からは『被ばく現場で危険手当もなしに働くことはできない』と訴えられて板ばさみになっている」(下請け会社社長)など不透明な実態に強い不信の声が上がっていました。

作業員に支払え

 渡辺博之市議の話 東電は昨年8月に私の問い合わせに下請け作業員への危険手当の支給を検討していると答えました。しかしその後、検討結果を聞いてもあいまいでした。昨年末、東電が『支払うように言っている』との報道があり、その確認に対し、事実上の危険手当を単価に見積もっていると明らかにしたことは一歩前進です。東電はこの事実をきちっと公表すべきです。政府も東電や関連会社がきちっと作業員に支払うよう責任を果たすべきです。

写真

(写真)東電関連会社から原発作業員に送られてきた「危険手当(災害復旧手当)」の支払い通知文書(一部加工)


解説

追及報道で一転、公表

 東電は下請け作業員への「危険手当」支給についてこれまで一貫して「発注先の判断」と発注者としての責任を回避してきました。

 危険手当を契約単価に見積もりながら、それを公表してこなかったのは、危険手当さえピンはねする元請けや孫請け、電話一本の「人夫出し」会社を擁護し、温存を図りたいという思惑が働いたからです。

 その一方で、政府と東電の「冷温停止状態」というあいまいな表現での「収束」宣言とは裏腹に、下請け作業員の被ばくは日を追うごとに増え続けています。加えて下請け作業の非人道的で劣悪な労働実態とそれを温存する東電や関連会社の違法派遣などの構造が、本紙やマスコミ報道で浮き彫りにされるもとで、東電は対応の「修正」を迫られたのです。

 ある関連会社は、昨年秋、こんな文書をつけて「危険手当(災害復旧手当)」を突然、支給しました。「取引先様より作業に携われた方に災害復旧手当の支払いの指示がありました」

 それによれば福島第1原発で事故当日の3月11日から31日までは作業装備に関係なく1日当たり1万5000円を、4月からは防護服、全面マスク着用で7000円を支払うとしています。(山本眞直)


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