2012年1月12日(木)
“原発開発前進させる”
原子力委「所信」 国民の願いに背
内閣府の原子力委員会(近藤駿介委員長)が10日、「年頭の所信」のなかで、今後も使用済み核燃料の再処理を含む原発開発を「着実に前進」させるとともに、原発輸出に「貢献」する姿勢を表明しました。
「年頭の所信」は10日の同委員会定例会議が全会一致で了承したもの。このなかで同委員会は、福島原発事故は、安全確保の取り組みが不十分であったことに起因するとして、「誠に申し訳なく」「心からお詫びを申し上げます」と繰り返し謝罪しています。
一方で、原子力発電を「我(わ)が国のエネルギーミックスの一翼」を担うにふさわしい姿へと「革新」すべきだと強調。「世界最高水準の安全性を有する原子力施設を実現するための施策」や「使用済燃料の再処理」などを「着実に前進させるための施策」を「決定しなければなりません」とうたっています。
これらは、原発ゼロを願う国民多数に背を向けたうえ、核燃料廃棄物の最終処分場を確保する見通しがまったく立たない現状を棚上げし、従来通り使用済み燃料の再処理施策をすすめようとするもの。新たな「安全神話」を国民に押し付ける内容となっています。
また「所信」は、「原子力科学技術のもたらす利益を享受したいとする国々が増加しつつあることを踏まえた国際協力」などに「貢献」する「施策」を決定することも「重要」だと明記しました。
同委員会は、福島原発事故の発生をふまえ、「原子力政策大綱」の「見直し」作業を進めています。今回の「年頭の所信」は、同委員会の原発事故への無反省ぶりとともに、野田内閣を後押しして原発依存・原発輸出推進の方針を同「大綱」に盛り込もうとする狙いを示しています。