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2012年1月10日(火)

主張

12年度軍事予算

「聖域」扱いはもう許されない

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 昨年末編成された2012年度の予算案の審議が年明けの通常国会で始まります。軍事予算案は東日本大震災復旧・復興経費の1136億円を含め、11年度比1・1%増の4兆8274億円です。

 東日本大震災の復興財源確保のためだといって国民に増税を押し付ける一方で、最大のむだである軍事予算を事実上「聖域」扱いにしているのは道理に合いません。軍事費を大幅に削って復興財源と国民生活予算に回してほしいという国民の切実な願いに政府は応えるべきです。

海外作戦能力の強化

 12年度軍事予算案の特徴は、軍事力には軍事力でという「軍事対抗主義」をむきだしに、日米軍事同盟を強化していることです。

 オバマ米政権の要求に応えて、本体だけで1機99億円もするF35戦闘機を42機購入することを昨年末決めたのはその最たるものです。12年度予算案で4機分395億円と関連経費205億円が計上されています。航続距離が長く、爆撃能力をもつ戦闘機の保有は「憲法に触れる」(増田甲子七防衛庁長官、67年3月29日衆院予算委員会)ものです。日米両国がF35をもち、長距離攻撃能力を強めれば、近隣諸国との平和・友好関係の発展を阻害することにもなります。

 1155億円もする大型のヘリ搭載護衛艦=ヘリ空母も導入します。4隻と決まっているヘリ搭載護衛艦を大型化するのは、海外での軍事作戦態勢をさらに強めるためです。自衛隊がアメリカとともに海外でたたかおうとしている危険は明白です。

 沖縄県民の「島ぐるみ」の反対で名護市辺野古での新基地建設が不可能になっているのに、政府が対米約束に従って普天間基地「移設」のために37・5億円を計上したのはとりわけ重大です。

 住民の反対を無視した南西諸島の軍事化も問題です。沖縄県の与那国島では自衛隊誘致反対署名が賛成署名を上回り、防衛省の説明会でも「平和な島に自衛隊はいらない」という声が圧倒しています。にもかかわらず陸自の沿岸監視部隊の配置などのための予算をつけました。鹿児島県の種子島からわずか12キロにある馬毛島の米空母艦載機部隊訓練基地化でも、西之表市など1市3町がつくる「米軍基地等馬毛島移設問題対策協議会」が7万人分の反対署名を集め防衛省にくりかえし抗議しています。それにもかかわらず調査費を計上しました。南西諸島の住民が怒りを強めているのは当然です。

 在日米軍への「思いやり予算」1867億円、米軍再編関係経費707億円、SACO(日米特別行動委員会)経費86億円は、米軍地位協定の義務でもありません。きっぱり廃止すべきです。

軍事衛星の保有狙う

 見過ごせないのは、防衛省・自衛隊が軍事通信衛星を保有するための経費1224億円を計上していることです。民間の通信衛星の回線借り上げによる利用をやめ、民間の資金を活用するPFI方式で軍事衛星を自前で保有する狙いをむきだしにしたものです。宇宙開発を大もうけの対象にしようとする財界・兵器産業いいなりは許されません。

 「アメリカ直結」と「財界直結」の野田佳彦政権では平和も暮らしも守れないことは、12年度軍事予算案をみても明らかです。


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