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2012年1月5日(木)

原発輸出を推進

津波対策先送り 東電幹部

“国策会社”の役員として

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 東京電力福島第1原発の巨大津波対策を「津波はこない」と先送りした東電幹部が、原発を海外に輸出する官民一体の“国策会社”の役員だったことがわかりました。


写真

(写真)原発輸出の国策会社、国際原子力開発が入居するビル。右後方は東京電力本店=東京・内幸町

 この会社は、「国際原子力開発」(東京・内幸町、資本金1億円)。2010年6月、経済産業省と、東京、中部、関西の3電力会社、東芝など3原子炉メーカーの企業6社で、ベトナムで計画中の原発プロジェクトの受注に向け「企画委員会」を設置し、同年10月22日、設立されました。

20%を出資

 電力、原子炉メーカーのうち、最高の20%を出資している東京電力は、国際原子力開発の役員に3人、名前を連ねました。

 昨年12月26日に公表された東電福島第1原発事故に関する政府の「事故調査・検証委員会」の中間報告の「事故の未然防止、被害の拡大防止」のところに、このうち2人が登場します。

 代表取締役社長の武黒一郎氏(元東電副社長で、現東電フェロー)と、昨年6月3日まで取締役だった武藤栄氏(東電顧問)です。

 同報告によると、東電は08年5〜6月、国の地震調査研究推進本部が公表した02年の見解にもとづき、福島沖で明治三陸地震(1896年)が起きたという仮定で試算。同原発付近の津波は最高15・7メートルに達すると予測しました。

説明相手は

 担当者は同年7月31日ごろ、防潮堤で津波の遡上(そじょう)水位を1〜2メートル程度まで低減できるが、数百億円規模の費用と約4年の時間が必要と説明しました。説明の相手は、原子力・立地本部の武藤栄副本部長(事故発生時は副社長)や吉田昌郎原子力設備管理部長(同第1原発所長)ら。武藤氏らは、「仮定の上の試算であり、そのような津波は実際には来ない」として対策を見送りました。

 決定は8月までに武黒一郎本部長に報告され、追認されました。

 武黒、武藤両氏は、津波対策を見送った当事者だったのです。

 国際原子力開発は、昨年9月29日、ベトナム電力公社と「ニントゥアン第二原子力発電所」プロジェクトについて、協力覚書を締結。「日本政府や関係者と協力し、鋭意プロジェクトの推進に努める」としています。

 原発事故で福島県民をはじめ国民に重大な被害と影響をいまなお与えているにもかかわらず、危険な原発を輸出することなどは許されません。


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