2012年1月4日(水)
関電の原発関連工事
町長創業会社が受注
福井・おおい町
関西電力大飯原発がある福井県おおい町の時岡忍町長が創業者で、取締役を務める工事会社が、関電などから8年間で4億6800万円の原発関連工事を受注していたことがわかりました。同原発の再稼働に向けた動きが進む中、原発立地自治体トップと電力会社との関係が問われます。
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問題の会社は、日新工機株式会社。濁水処理プラントの修理や販売などを手がけています。時岡町長は1996年まで代表取締役をつとめ、今も同社の非常勤取締役です。同社株式を85株、全体の約46%を保有する筆頭株主です。現在の代表取締役は時岡氏の長男。
8年で4.6億円
同社が福井県に提出した工事経歴書によると、2003年4月から11年3月の期間に関電などから受注した、「大飯3、4号機ETA排水処理設備冷却水配管」などの原発関連工事は73件で総額は少なくとも4億6800万円。関電の直接発注は、そのうち19件で3億400万円にのぼります。
同社の関電からの直接受注は05年度以降、急激に増加。結果、受注総額も04年度以前の数倍の伸びとなっています。(グラフ)
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06年3月に、大飯町と名田庄村が合併しておおい町が誕生。同月に、旧大飯町長の時岡氏は、おおい町長に当選しています。
05年に関電は、大飯原発の原子炉容器上ぶた交換のために、福井県や旧大飯町に事前了解願を提出。地元の同意を得る必要がありました。
中立性に疑問
関電は昨年10月28日に停止中の同原発3号機、11月17日には同4号機のストレステスト(耐性試験)の結果を経済産業省原子力安全・保安院に提出済みで、再稼働に向けた動きが進んでいます。
時岡氏は「関西のエネルギー事情を考えるとやむを得ない」と同3・4号機の再稼働を容認する態度を表明しています。
町長の実質的な親族経営会社が関電からの発注を主とした原発関連工事を受注しており、同原発再稼働の行政判断に中立性が保てるのか、疑問が生じます。
時岡氏は本紙の取材に「多忙のため、答えることができない」と、回答を拒否しています。
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