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2012年1月4日(水)

宮城・気仙沼市 地元中小建設業に補助金

「再建へ道見えた」

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 宮城県気仙沼市の建築関連の中小企業グループ「気仙沼地区住環境復旧復興支援プロジェクト」が、国の中小企業等グループ施設復旧整備補助金の交付を受けることになりました。関係者は、「再建への道筋がみえた」と意気込んでいます。 (竹田捷英)


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(写真)補助金の認定内示書を手に喜ぶプロジェクトの皆さん。後列右端が気仙沼本吉民商の千葉さん、前列右から2人目が同民商の菅原均会長

 補助金額は2億1千万円。東日本大震災の津波で店舗、工場などを流失した工務店、左官工事業者などが申請を繰り返し3度目で獲得しました。

復旧めざす業者

 「気仙沼地区住環境復旧復興支援プロジェクト」は、被災した市民の住宅や店舗の早期復旧をめざしてとりくむ地元建築業者と建築関連業者の集まりです。参加している業種は建築業のほか、電気工事、建具、板金工事、内装、左官工事業などです。

 プロジェクト代表の中舘工務店社長の中舘忠一さん(60)は、「窓口となっている県から、『建築関係は難しいかもしれない』と言われ、2度申請して認められなかった。でもあきらめてはいけないと仲間で励ましあってがんばった結果です」と喜びを語ります。

 補助金は、プロジェクトに参加する16社のうち店舗、事務所、工場、重機類に被害のでた12社に対して、施設の復旧や整備のために交付されます。「再建に必要」と申請した合計額がほぼ認められました。

頑張ろうの空気

 プロジェクトが利用した制度は中小企業庁が実施する「中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業」。被災地域(岩手、宮城、福島、茨城県)の中小企業等のグループが復興事業計画をつくり、地域経済・雇用に重要な役割を果たすものとして県の認定を受けた場合に、施設などの復旧・整備に対して国が費用の2分の1、県が4分の1を補助するというものです。

 気仙沼市内の仮設住宅は現在3300戸、借り上げ住宅は1500戸。住民の中には「近い将来、住宅や店舗、工場を再建、新築したい」という希望が強まることが予想されます。

 「そのときに、地元の建築業者が事務所や工場がないままでは市民の期待に応えられない。事業を再建し応えたい」とプロジェクト副代表で木村工務店代表の木村衛(まもる)さん(62)は力を込めます。「補助金が出ることになって建築の仕事をまたできる見通しができた。仲間に『また頑張ろう』の空気が広がっているんです」

 認定のために尽力した日本共産党の大門実紀史参院議員は、「大手ゼネコンが被災地に参入しているなか、復興を担う地元中小建設業のグループへの支援を認定させた意義は大きい」と語っています。

妻の気持ち継ぐ

 「気仙沼地区住環境復旧復興支援プロジェクト」代表の中舘忠一さんは、昨年3月11日の津波で240平方メートルの事務所、300平方メートルの工場、自宅、重機など30年以上かけて築いてきたすべてを流されました。津波は事務所にいた妻(59)と女性従業員をものみ込み、2人は行方不明のままです。

 「震災直後は妻と女性従業員を捜して歩き、そのことで頭がいっぱいでした。何もする気になれませんでした」と振り返ります。「何度考えても、津波に直面するぎりぎりまで妻が仕事に全力であたっていた姿しか思い浮かばなかった」

 1カ月がたったころ、「建築の仕事に正面から向かっていた妻の気持ちを引き継いでいこう。復旧、復興で建築業がやらなければならない仕事はたくさんある。再建して頑張ろう」と気持ちを切り替えられるようになりました。

 6月中旬、中舘さんに気仙沼本吉民主商工会が再建のために中小企業庁の「中小企業等グループ施設等復旧整備補助事業」への応募をすすめました。

 事務所や工場を流された木村工務店の木村衛(まもる)さん(プロジェクト副代表)らに声をかけ早速、窓口の県に応募しました。

民商や党が応援

 第1次(6月)、第2次(9月)の募集では申請が通りませんでした。

 プロジェクトの運動をバックアップしてきた気仙沼本吉民主商工会事務局長の千葉哲美さんが指摘します。

 「1次募集では中小企業補助という名目とはかけ離れた大企業を中心としたグループへの交付が目立った。2次募集も一部の商店街と水産加工業にとどまり、広い業種への交付はされなかった」

 プロジェクトのメンバーはあきらめず、3次募集では建物づくりに必要な業種を網羅した16社のグループに拡大。それでも当初、県はグループの意義を認めようとしませんでしたが、日本共産党の大門実紀史参院議員の力も借りてプロジェクトの役割をアピール。ようやく認定をかちとることができました。

制度の活用広く

 中舘さんは、「市民の住宅の復旧には地元建築業者があたるのが適している」と強調します。地元業者が施工すれば、そこに支払われるお金の大半は、地元資材業者や専門業者にまわって地元消費につながり、地域経済の活性化や、地域の復旧・復興に役立ちます。

 千葉さんは―。

 「今回、地元の建築業の再建に補助金交付をさせた意味は大きい。引き続き被災した店舗や工場への国の直接の支援策の拡大を訴えながら、この制度を可能な限り広く活用していきたい」

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