2012年1月3日(火)
2012内政展望
消費増税・社会保障削減の「一体改悪」
歴史的たたかいの年
2012年は、野田佳彦首相が「不退転の決意で臨む」とする「税・社会保障一体改革」との国民的たたかいの年となります。
「一体改革」とは、消費税を最低でも2014年に8%に、15年に10%に引き上げるとともに、社会保障のあらゆる分野を連続的な制度改悪で最悪の水準に引き下げるものです。
通常国会に提出
野田内閣は、年金では、10月から3年間で年金支給額を2・5%引き下げる法案を通常国会に提出します。4月からは、昨年の物価下落にあわせて0・3%減らすため、合計1・2%という過去に例のない削減になります。
その先に、さらなる大幅削減、支給開始年齢先延ばしの検討も予定されています。
保育を実施する公的責任をなくす「子ども・子育て新システム」法案と児童福祉法改悪案も通常国会に提出を強行する構えです。公的な責任で行われてきた保育を市場化・産業化し、保育の確保を保護者の「自己責任」にします。自公政権が介護、障害者福祉で行った社会保障「構造改革」の保育版です。
介護・医療でも、国民の負担を増やして利用を抑制する諸施策を通常国会提出に向けて検討中。最後の命綱である生活保護の改悪も進行しています。
これらの制度改悪はどれも、社会保障費を毎年2200億円削減する旧自公政権の路線の延長線上にあります。社会保障削減への国民の怒りで政権交代が起こり中断したものを、今度は、怒りの受け皿であった民主党政権が引き継いで、いっそう進めようというのです。しかも、庶民への大増税と同時にやるというのは過去に例がありません。総選挙でも、日本の将来をかけた最大の争点になります。
景気にも悪影響
自公政治による暮らし破壊と貧困の広がりは、民主党政権下でも拡大しています。
新たな制度改悪がない場合でも、介護・後期高齢者医療の保険料が4月から大幅に上がる自治体が相次ぐ見込みです。中小企業労働者の医療保険料も、初めて収入の1割(労使折半)に達する大幅引き上げとなります。
非正規雇用者の割合は、09年に33・7%だったのが、11年(7〜9月)には35・3%に上昇しました。それにもかかわらず労働者派遣法の抜本改正を怠り、抜け穴だらけの「改正」法案さえ骨抜きにしようとしています。
そこに襲いかかるさらなる社会保障削減は消費をいっそう冷やし、内需に悪影響を与えると懸念されます。
言いなり転換を
自公政権も、それに代わった民主政権も、結局同じ路線に行き着く根底に「財界言いなり政治」があります。
法人税減税の穴埋めに消費税を上げる▽大企業の社会保険料負担を増やさないために社会保障を削減する▽「国際競争力」の名の下に雇用を破壊し賃金を下げる―こうした政治を転換し、大企業・大資産家に応分の負担を求めること抜きに、安心の社会保障をつくる道はありません。
「一体改悪」を阻止する国民的運動を広げることが喫緊の課題です。それは、政治のゆがみの根本を問うことになり、「今後の国民の暮らし、日本の経済と社会のあり方を左右する歴史的たたかい」(日本共産党第4回中央委員会総会での志位和夫委員長の報告)となります。