2011年12月31日(土)
迂回献金・定期預金切り替え…
小沢氏資金 不透明さ浮き彫り
「陸山会」公判 元秘書が法廷で証言
民主党元代表の小沢一郎被告(69)が政治資金規正法違反(虚偽記載)に問われた資金管理団体「陸山会」の土地購入事件の公判は、予定されていた9人の証人尋問をすべて終え、1月10、11両日に被告人質問がおこなわれる予定です。この間の公判で、小沢事務所の不透明な政治資金の扱い方が浮き彫りになりました。
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来月10、11日 本人質問
脱法性認識?
その一つは、迂回(うかい)献金疑惑です。
元秘書の池田光智被告(34)が証人として出廷した12月7日の第7回公判のこと。小沢氏側が、2009年の総選挙で、旧新生党の資金がプールされている政治団体「改革フォーラム21」から小沢氏が支部長の「民主党岩手県第4区総支部」を経由して、3億7000万円を陸山会に寄付し、民主党の候補者91人に選挙資金として配った問題が取り上げられました。
規正法は、政治団体間の寄付について、年間5000万円を上限と規定しています。政党支部と政治団体間の寄付は無制限です。
公判で池田元秘書は、検察官役の指定弁護士から3億7000万円について「小沢被告から相談を受けたか」と問われ、「(小沢氏から)『改革フォーラム21から陸山会に寄付ができるか』というような話があり、直接は上限があるので難しい。借り入れとか、他団体(党支部)からならできるという説明をした」と答えました。
このことは、小沢氏が資金移動にかかわり、迂回献金の脱法性を認識していたことをうかがわせるものです。
実際、陸山会は10年にも、改革フォーラム21の1億円、関連政治団体「誠山会」の9588万422円を、それぞれ「第4区総支部」を経由して受け取っています。
損失も承知で
誠山会が1億円を超す外貨定期預金を保有しながら、年末にわざわざ普通預金に切り替える運用を繰り返していたという問題も明らかに。
12月8日の第8回公判。指定弁護士は、誠山会が2000年以降、1億850万円〜1億3000万円の外貨定期預金を保有していたと指摘。「年末に普通預金にして収支報告書に載せないようにしていたのではないか」とただしました。
池田元秘書は「そういう慣例で、期末に(外貨定期預金を)解約するように言われていた」と認めました。
外貨定期預金は、為替の変動により、解約時に円高になっていれば、損失が出ることになります。誠山会の10年の収支報告書によると、「換算差額」として1174万4623円を三井住友銀行に支払ったことが記載されています。
規正法は、年末時点で保有する定期預金の残高を収支報告書に記載するよう義務付けていますが、普通預金は記載義務がなく、大きな損をしてでも、巨額預金を隠すために切り替えという手法をとっていたとみられます。
飲食立て替え
小沢氏の関連政治団体には、“任務分担”があることもわかりました。
第7回公判で、池田元秘書は、「第4区総支部」は企業献金、小沢一郎政経研究会はパーティー、陸山会は個人献金―と扱う資金が違うことを証言しました。
誠山会は、小沢氏の個人的な飲食の“財布”でもありました。同秘書は第8回公判で、小沢氏が使った飲食の経費を個人、政治団体への振り分けを誠山会でおこない、個人的に使い、立て替えた分をリストにして、小沢氏に見せ、「全体で、いくらお願いします」と請求していたことを明らかにしました。その額は、「2000万円ぐらいあった年も」と証言しました。