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2011年12月28日(水)

主張

「武器禁輸」見直し

「死の商人」国家をめざすもの

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 武器輸出を禁じたこれまでの「三原則」を全面的に見直し、武器輸出を「包括的」に認めた政府の新基準は、武器輸出を求めるアメリカや財界の要求に応えるとともに、武器禁輸を国是としていたからこそ得てきた国際社会の信頼を失わせる「亡国」の決定です。

 新基準は、日本が欧米諸国などと共同開発・生産した武器を他国に輸出することを認めたものです。武器輸出の解禁そのものです。憲法にもとづく禁輸原則をほごにし、日本を「死の商人」国家に変える、野田佳彦政権による、新たな暴走です。

戦争当事国への輸出

 「武器輸出三原則」は過去の侵略戦争の反省にたち、日本の武器で他国民の命を奪わないという国民の願いがこめられたものです。1976年2月に三木武夫政権がうちだした「三原則」には、「憲法…の精神にのっとり、『武器』の輸出を慎む」と明記しています。武器禁輸は戦争そのものを否定した憲法の精神を論拠にした平和の原則なのに、それを見直すなど言語道断です。武器輸出の禁止を求めた国会決議をも踏みにじることになります。

 武器輸出の新たな基準を示した官房長官談話は、これまでアメリカと共同開発した武器などを「個別」の例外措置として認めてきた武器輸出を、今後は「包括的に例外措置を講じる」といいます。「包括的」に「例外措置を講じる」とは結局、一切規制を取り払い、輸出を自由にするということです。文字通り禁輸原則をないがしろにするものです。

 新基準により、日本が国際共同開発に参加し生産する武器は、無限定に海外輸出できる道が開かれます。武器一般の輸出も可能になります。日米両国が共同開発した弾道ミサイル迎撃ミサイルに限定してアメリカなどに限って移転を認めた菅直人政権の例外措置などとはまったく違います。

 政府と兵器産業が求める武器の共同開発・生産は、北大西洋条約機構(NATO)諸国などの軍事同盟諸国を中心にしたものです。例えば日本が購入を決めたF35戦闘機は米国を中心に9カ国が参加していますが、8カ国がNATO加盟国です。こうした最新鋭兵器の共同開発に日本が参加すれば、多くの国に日本製の武器が輸出されることになります。

 武器の共同開発・生産にとりくんでいるのはベトナムやイラクなどにたいする侵略戦争参加国が中心です。共同開発・生産国などへの武器輸出を認めながら、「国際紛争等を助長することを回避する」(官房長官談話)というのは通用しません。「武器禁輸」を解除し、多くの他国民の命を奪う道に進むことは許されません。

政府決定を撤回してこそ

 「平和貢献・国際協力」に関連した武器の輸出を認めたことも重大です。国連平和維持活動でも人を殺傷することはあります。歯止めのない武器輸出は許されません。

 日本がこれまで日本の兵器産業がつくる武器で他国民の命を奪うことがなかったのは、「例外」をつくったにせよ、原則として武器は輸出しないという「三原則」を基本にすえてきたからです。

 日本を「死の商人」国家に変えるのでは日本は国際社会の信頼を失うだけです。政府は新基準の決定をただちに撤回すべきです。


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