2011年12月27日(火)
使い捨て規制せず
労政審 有期雇用で建議
期間社員や契約社員など有期労働契約の規制を検討してきた厚生労働省の労働政策審議会は26日、労働条件分科会(岩村正彦会長・東大大学院教授)による報告をうけて建議を小宮山洋子厚生労働相に提出しました。有期契約の乱用を規制するとして、期間の定めのない無期契約に転換させる新たな制度の創設を盛り込みました。政府は来年の通常国会で労働契約法を改正する予定です。
議論の焦点になっていたのは、有期契約が可能な期間の設定。労働側が3年、経営側が7年を主張していましたが、5年という長期の設定になりました。これまで通り反復・更新して使い捨てできる企業にとって都合のいい年数です。
有期労働契約については、2008年のリーマン・ショックによる「非正規切り」で雇用の不安定さなどが社会問題になったことから検討を開始。学識者による研究会報告を経て、昨年から労政審で議論されてきました。
建議は、労働組合や法曹界などが「有期労働契約は臨時的・一時的な業務に限定する」と強く求めた、いわゆる「入り口規制」は受け入れませんでした。
また、労働者側が反対していた「クーリング期間」を6カ月(通算契約が1年未満の場合はその2分の1)に設定。無期契約に転換する対象になる前に6カ月の空白をつくれば、再び有期契約ができるようにするもので、不安定雇用の継続だと批判されていました。
さらに、確立した判例ルールである「雇い止め法理」を法律に明文化するとしました。
労働者側は「異論はない」とし、使用者側も「理解する」とのべ、了承しました。