2011年12月25日(日)
被災者たちの冬
沿岸部と気温差 戸惑い
福島・会津若松市の仮設
「冬型の気圧配置となり、会津は、大雪の注意が必要」。福島気象台は23日の福島県会津地方の天気をそう予測しました。本格的な積雪の季節を迎えた会津若松市の仮設住宅。同市の扇町1号公園応急仮設住宅で避難生活をする日本共産党の石田洋一大熊町議宅で宿泊体験をしました。 (菅野尚夫)
|
「『寒いよ〜』なんていわない。冬が寒いのはあたりまえ」。石田さんは「寒い、寒い」を連発する記者をそうたしなめました。
かつて体験をしたことのない苦難を味わっているのは被災者たち。「沿岸部にある大熊町と会津では6度の気温差はあります」と石田さんはいいます。積雪は3センチ。屋根から伸びたつららは30センチ。部屋にはコタツにガスストーブ。記者は、もも引きにジャージーの上からズボンを重ね着して、マフラーを首に巻いています。就眠時には毛布3枚に布団をかけて眠りました。
原発事故に怒り
東部公園仮設住宅に住む男性(77)は「仮設住宅は本当に粗末なものです。人間が入るものではありません」と断言します。「財産を投げ出して、『命が大事』と避難して来ました。大熊町に住んでいた時には着なかった綿入れをめいが作って贈ってくれました。涙が出ます。脱原発です」と、東京電力福島第1原発事故がもたらした仮設住宅暮らしに怒りを語ります。
松長5号仮設住宅の女性(78)は「骨折の後遺症で腰痛があり雪かきができません。隣近所のひとたちの援助でやってもらっています。ありがたい」と感謝。雪国ならではの日常生活に戸惑います。
「暖房費助成を」
「県が借り上げた民間賃貸住宅に住む被災者たちも含めて暖房費の助成が必要ではないか」と、提案する男性(60)。「大熊町ではストーブを一日中たくことはなかった。朝晩だけだった」と話します。「会津の仮設からいわき市の仮設に引っ越す人がいます。寒さ、会津では仕事がないこと、いわき市の高校進学をめざす子どもの教育のためなどの理由からです。きめ細かい冬を乗り切る対策が求められています」
「やまぬ雪なし」「来ぬ春なし」。宿泊体験仮設住宅で学んだ避難住民たちの生きる力のたくましさでした。