2011年12月22日(木)
命削る生活保護老齢加算廃止
最高裁は生活実態みて
福岡高裁判決確定を 全国連絡会訴え
生活保護の老齢加算廃止の処分取り消しを求める生存権裁判で、最高裁が福岡訴訟の被告・行政側の上告を受理し、来年2月に口頭弁論開催が決まっている中、「生存権裁判を支援する全国連絡会」(井上英夫会長)は21日、東京都内で記者会見を開き、「最高裁判所は、人権保障のとりでとして、生活保護基準の引き下げを認めず、国民生活を守るべきである」としたアピールを発表しました。
|
アピールには、作家の雨宮処凛さん、住江憲勇・全国保険医団体連合会会長、藤末衛・全日本民主医療機関連合会会長、暮らしと経済研究室主宰の山家悠紀夫さんら36人の有識者が賛同しています。
アピールは、口頭弁論開催に当たって最高裁に対し、原告の訴えに真摯(しんし)に耳を傾け、非人間的な生活実態に目を向けることを要求。福岡高裁判決が指摘した、老齢加算廃止が「はじめに削減方針ありき」という手続きの不自然さを直視することを求めています。
また、生活保護基準は最低賃金、年金、保険料などと連動しているため、その引き下げは、国民全体に悪影響を及ぼすと指摘。「国・北九州市の上告を棄却し福岡高裁判決を確定させ、憲法の番人としての役割を十分に発揮」するよう要望しています。
東京訴訟の原告団長、横井邦雄さん(83)は「社会保障費を削る目的で一番弱い立場の老齢加算を全額廃止した。予算削減が目的なら、他に削るべきところがあるはずだ」と強調しました。八木明さん(85)は「長年、旅行も映画も行けない。文化的な生活とは無縁だ」と話し、老齢加算の復活を求めました。
会見には、同会の井上会長、朝日健二副会長、東京訴訟弁護団長の新井章弁護士、東京原告の鈴木カヅエさん、榊原芳治さんも参加しました。
最高裁に署名提出、宣伝 原告・支援者
生存権裁判の原告・支援者らは同日、最高裁判所に対して、老齢加算廃止を違法とする判決を出すよう要請する署名を提出しました。その後、訴訟団は東京・新宿駅前で宣伝行動をしました。
生存権裁判は9都府県でたたかわれ、このうち東京と福岡の訴訟は最高裁に移っています。
東京は昨年5月、高裁で原告敗訴。福岡は昨年6月、原告側が高裁で逆転勝訴しています。それぞれ上告。福岡は受理されて来年2月24日に口頭弁論が開かれます。高裁判決見直しの恐れがある重大な局面です。