2011年12月21日(水)
東日本大震災 被災者支援に関する緊急申し入れ
日本共産党国会議員団
大震災から9カ月余が経過したが、被災者の生活と生業(なりわい)の再建は遅々としてすすんでいない。とくに、被災地は厳しい冬をむかえ、被災者の生活はいっそうの困難をきたしている。
日本共産党は、野田首相に申し入れた「選別と切り捨ての『復興』ではなく、すべての被災者の生活と生業を支援し、地域社会全体を再建する復興を――大震災・原発災害にあたっての提言」(10月7日)をはじめ、これまで3次にわたる復興提言を行ってきた。これらの実現に引き続き力を尽くすとともに、被災者が安心して「年越し」するために必要な下記事項について、早急に実現するよう申し入れる。
1、生活に困窮する被災者への特別な支援など、被災者の生活支援を強化すること
義援金や生活再建支援金等として受け取った所持金も少なくなり、「年を越せない」という痛切な声も出され、厳しい寒さのなかでもこたつや暖房を我慢している被災者もいる。冬の寒さ対策も配慮し、生活に困窮している被災者に特別の支援が必要になっている。
――歳末見舞金の支給を行うこと。被災地の一部の市町村ではすでに実施しているところもあるが、国の施策にするとともに、被災した中小業者や、漁業者、農業者も含めて支給できるようにする。
――被災者の医療費免除や介護保険料の減免を継続実施すること。
――増大する暖房費などを援助するために、水光熱費の補助、灯油の支給などを行うこと。
――罹災(りさい)証明の受け付けや仮設住宅、民間借り上げ住宅等への入居申し込みを継続すること。罹災証明の受け付けを年内で打ち切ろうとしている自治体が増えている。しかし、罹災証明書は、被災者が公的支援を受けるために必須であり、たとえ少数であっても切り捨てるようなことがあってはならない。
2、仮設住宅、民間借り上げ住宅、雇用促進住宅を含む公的住宅、自宅避難者の冬季対策など環境改善を早急に行うこと
厳しい寒さが続くにもかかわらず、「入居時に配布した夏用ふとんのみ」「毛布は一家族1枚」などの現状を、被災地の実態に即した早急な改善が必要である。
――冬用のふとんと毛布を家族人数分支給すること。
――こたつ、ストーブなどの暖房器具、給湯設備を、仮設住宅、民間借り上げ住宅、雇用促進住宅を含む公的住宅、自宅避難者などに、災害救助法に基づく国庫負担の対象として配備すること。
――仮設住宅の周辺と通路に街灯を設置すること。仮設住宅の周辺は真っ暗の所が多く、日没が早くなりスクールバスの停留所から仮設住宅まで暗闇という例もある。
3、中小業者、農林水産業者の資金繰りなどの対策を柔軟に行うこと
年末を控え、事業者も、個人も「年越し」の資金や金融機関からの既設ローン返済請求に苦しめられる事態が生まれている。国の「二重ローン」対策、既設ローンの軽減・免除対策が大きく遅れていることが事態を深刻にしている。年内に最大限の債権買い取りを行うことをはじめ根本的な対策をすすめるとともに、柔軟かつ機敏な対策をとる必要がある。
――住宅ローンをはじめ既設ローンの返済猶予、条件変更などに、被災者の実情をふまえて適切に対応するよう、金融機関を厳格に指導すること。
――中小企業等グループの施設復旧・整備への支援事業(4分の3グループ補助)は、第3次申請分の決定を早期に行い、前払い金を直ちに行うなど、事業者に一日も早く届くようにすること。希望するすべての事業者が受けられるように補正予算を含めて予算措置をすること。
――仮設店舗・工場の年内建設完了をめざす、漁船も年内に最大限確保するなど、事業再開の努力を最大限支援すること。
――各県が行っている利子補給や保証料補助などの中小企業、農林水産事業者向けの金融支援に対して、国がより一層の財政支援を行うこと。
4、被災地の雇用を守るために、年末を控え、解雇や雇い止めが起きないよう万全の対策をとること
5、被害者の実情を反映した原子力損害賠償のすみやかな実施と除染の迅速化をはかること
東電福島原発事故に伴う損害は、すべて賠償されることが大原則であり、被害の実態に見合った十分な賠償が迅速に行われるよう、国が責任を果たすべきである。
――年末を控え、被害者の生活と事業を守るために、東京電力に対し、賠償請求が提出されているものに対して、年内に支払いを行わせること。
――国が実施した調査でも福島県以外で高い放射線量が出ている。賠償についても、不当な線引きを行わず、すべての被害を賠償することを明確にすること。
――本格的な除染作業を早急に実施するとともに、農家が「自主保管」を余儀なくされている放射性セシウムが濃縮した稲わらの処分方法を、国の責任で早急に決定し、農家の負担を軽減すること。