2011年12月20日(火)
金正日総書記が死去
葬儀委員筆頭に正恩氏
北朝鮮の朝鮮中央通信は19日、金正日(キムジョンイル)朝鮮労働党総書記(69)が17日午前8時30分、現地指導の際、過労により列車内で死亡したと報道しました。死因については、心筋梗塞を起こし、心原性ショックを併発したためとしています。
朝鮮労働党中央委、党中央軍事委員会などが連名で発表した報道文は、「尊敬する金正恩(キムジョンウン)指導者の領導に忠実に従おう」と述べ、金総書記の三男の金正恩中央軍事委員会副委員長(28)が後継者となることを示唆しました。正恩氏らによる葬儀委員会が構成され、28日に平壌で葬儀、29日に中央追悼大会が行われます。報道によると正恩氏は、葬儀委員会の名簿の筆頭に掲載されました。
金総書記は1974年に党政治委員に就任し、故・金日成(キムイルソン)主席の後継者としての活動を開始。94年の金日成主席の死後、事実上の最高権力者となりました。金正恩氏は、2010年に党軍事委副委員長に就任。対外的な活動を開始してからの期間が1年余と短いため、正恩氏へと権力の移行が順調に進むかどうかは未知数です。
金総書記は、米国の「圧殺政策」に対抗するとして、軍事優先の「先軍政治」を提唱。長距離ミサイルと核兵器の開発を推進しました。2度にわたり南北首脳会談を行うなど、一時は韓国との和解を模索したものの、08年の李明博(イミョンバク)政権の発足後、方針を転換。昨年、朝鮮戦争(1950〜53年)の休戦後、初めて韓国領の延坪島を砲撃しました。朝鮮半島は、北東アジア情勢を揺るがす震源地となってきました。
金総書記の死亡は、今後の朝鮮半島情勢に重大な影響を及ぼすとみられます。22日にも実施されるとみられていた核問題をめぐる米朝協議の実施も、不透明になりました。
韓国政府は緊急安全保障会議を招集。韓国軍は、突発的な事態に備え、警戒態勢に入りました。
志位委員長が談話
日本共産党の志位和夫幹部会委員長は19日、マスメディアの求めに応じて次の談話を発表しました。
北朝鮮の金正日総書記の突然の訃報に接し、驚いている。
一国の首脳の死として哀悼の意を表する。
後継の指導部が、2002年の日朝平壌宣言にもとづいて、核兵器、ミサイル、拉致、過去の清算など、両国間の諸懸案の包括的解決に真剣にとりくむとともに、2005年の6カ国協議で確認された諸原則にたちかえり、国際社会の責任ある一員としての道をすすむことを願うものである。