2011年12月19日(月)
全米市長会議が調査
飢餓・ホームレス世帯が増加
景気低迷、貧困層へ大きな影響
米国の人口3万人を超える約1300の都市の市長で構成する全米市長会議(USCM)はこのほど、食料不足やホームレス状態の世帯が増えているとする調査結果を公表しました。長引く景気低迷と高失業率が自治体を圧迫していると警告しています。
15日公表されたのは「米国における飢餓とホームレスの現状報告」と題する年次報告。ボストンやシカゴ、ロサンゼルス、フィラデルフィアなど29都市での調査結果をまとめています。
それによると、米農務省の低所得者向け「緊急食料支援」について、過去1年間に25都市で申請件数が平均15%増えていました。申請の51%が家族のある人で26%は就業者。さらに19%が高齢者で、11%がホームレスでした。
申請が増加しても、緊急支援用の食料の総量が変わらないため、29都市中25都市で食料の1回分の支給量を、20都市で支給回数をそれぞれ減らしていました。また24都市で申請を断らざるを得ない場合がありました。
食料不足の原因は何かとの問いに対しては「失業」と答える市が最も多く、「貧困」「低賃金」「住居費の高騰」と続いています。
ホームレスについては12都市で、ホームレス状態になった人の数が平均で7%増えていました。そのうち7都市では、ホームレスを経験したことのある家族を抱える数は15%増となっています。
ホームレスの増加についても報告書は、失業が最大の要因だと指摘。対策として各都市とも、緊急避難所よりも公的支援による住居を提供するよう求めています。
USCMの飢餓・ホームレス対策共同本部長を務めるミズーリ州カンザスシティーのジェームズ市長は記者会見で、「長期的で深刻な今の景気低迷が、貧困層の市民に大きな影響を及ぼしている」と指摘しました。