2011年12月18日(日)
パナ社警備業務の4人 解雇撤回させた
労組加入し団交 大阪
大手電機メーカー、パナソニックグループで相次ぐリストラに、「泣き寝入りはしない」と立ち向かった電機・情報ユニオン関西地本の中本俊彦さん(54)ら組合員4人が解雇を撤回させました。同グループが全国ですすめているリストラに対し、雇用を守らせた成果は初めてです。 (酒井慎太郎)
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職場は、パナソニック電工の本社地区にある子会社「パナ電工ビルマネジメント」(大阪府門真市)。警備業務を外部委託する計画によって、全国に約150人いる警備員全員が12月中旬までに、委託先への転籍か早期退職を迫られました。
転籍すると、年収は約150万円減になり、残業代を含めても約240万円(総支給)です。さらに正社員から非正規雇用へと待遇が激変し、不安定になります。中本さんら本社地区の警備員は約30人で、勤続年数は4年前後。2人目の子どもが生まれたばかりの社員もいました。
リストラが発表された10月中旬の説明会。職場に労働組合はありませんが、社員は黙っていませんでした。
黒字なのに
「転籍に応じなければ整理解雇だ」と脅す会社側に、「黒字経営なのに整理解雇はおかしいだろ」と口ぐちに反論。弁護士と相談して違法性はないとごまかしていた会社側は後日、「整理解雇ではない」と撤回しました。
会社側は何度も個人面談に呼び出し、「残っても仕事はない。時給780円の草むしりでもするしかない」と転籍か退職かを強要。加算金は期限を設け、わずか150万円でした。多くは「大企業のパナソニックに逆らっても勝てない」とあきらめ、退職に追い込まれました。
中本さんは2年前から社内でただ一人、個人加盟のユニオンの組合員でした。「泣き寝入りはしない。理不尽なことには屈しない」と立ち上がりました。
仲間を誘い
同僚に、ユニオンが2年前にパナソニック電工の退職強要問題を解決した実績も紹介して加入をよびかけ、組合員は4人に増えました。今月6日の2回目の団体交渉で雇用を継続させることを確認しました。
雇用は守らせたものの、同社は組合員に群馬県大泉町への配転を提示してきました。中本さんらは「親の介護があり、とても行けない」として通勤圏内での仕事の確保を要求し、会社に確認させました。業務内容は交渉中です。
「違法なリストラに対し、転籍に本人同意が必要なことなど法に照らして一つひとつはね返してきた。重要な成果です」と指摘するのは、パナソニックOBでもある関西地本の西野健一委員長(70)。「労働組合の仲間の知恵と現行法を生かせば、団体交渉の力で要求を実現する展望は開ける」といいます。
ユニオンは14日朝、同社前で初めて門前宣伝し、「違法なリストラを許すな」とのビラを配布。パナソニック革新懇や地域の組合員らが支援しました。組合員は翌15日には名古屋でも増えました。
中本さんは「一緒にたたかい、また応援してくれる仲間に助けられながら粘り強く頑張り、ここで働き続けます」と話しています。