「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2011年12月17日(土)

いまメディアで

スクープ なぜ「赤旗」ばかり?

金井啓子・近大准教授に聞く

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 「ウォール・ストリート・ジャーナル」(米紙)の日本語版サイトで、「なぜ赤旗ばかりがスクープ飛ばすのか」というコラムを書いた金井啓子・近畿大学准教授(ジャーナリズム論)に話を聞きました。(林信誠)


写真

(写真)金井啓子近畿大学准教授

 共産党支持者でも、一般マスコミに反対する立場でもない私が見ても、九州電力の「やらせメール」についての「赤旗」記事はまさに「鮮やかなスクープ」でした。

 他のメディアにスクープがまったくないといっているわけではありません。しかし、「赤旗」に一切触れず、最初からニュース価値を評価していたかのように装って報じたマスメディアの姿勢は「腑(ふ)に落ちない」と論じたのです。

幅広い情報を

 「赤旗」の調査報道や権力監視の役割には敬意をもっています。同時に、他のメディアにも問題意識の高い記者はいるし、自分の記者時代の反省もあって、あのコラムを書いて何か“天にツバする”ような複雑な気持ちも正直ありました。

 電力会社からばく大な広告料を受け取ってきたマスメディアが原発推進の役割を担ってきたというのは「赤旗」の指摘どおりですが、原発問題を「マスコミ任せ」にしていいはずもありません。過去にはチェルノブイリ原発の悲惨な事故の実例もあります。私たち有権者や読者も「もっと知りたい」という意欲で、政治や報道の是非を科学的な目で見分ける姿勢が必要ではないでしょうか。

 そのためにもメディアは、政府や電力会社の情報だけでも感情論でもなく、客観的で幅広い情報を冷静に提供すべきです。他のメディアに比べて「赤旗」が幅広い情報を提供する役割を果たしていることが多いと感じていますが、その一方で、独善的な印象を私がもってきたことも事実です。

ネット時代に

 福島第1原発事故以来、原発関連報道が鋭く注目されています。インターネットで個人が、政府や企業、メディアを自由に批判できる時代でもあります。これまで黙っていた人が、「私たちの命をなんだと思っているのか」と声をあげるようになっています。

 今後、ネットメディアとの競争は厳しくなります。しかし、「赤旗」を含む既存メディアも、ネット敵視ではなく、独自の取材能力や人的ネットワークを生かして差別化を図りつつ、自らもネットでの発信も強化していくことでネットと共存していくべきでしょう。

 期待していた公約が政権交代後に次々と覆され、有権者には失望が広がっています。非正規雇用の自由化などで、大企業のもうけが底辺の労働者に回らないために消費が冷え込み、格差がますます広がる傾向も変わっていません。私のゼミの学生たちも就職活動が大変です。

 過去にマスコミにいた私としては、「マスコミ批判」を仕事にはしたくない。でも、政治報道や「権力の監視」などで、マスコミにはいい役割を果たすように頑張ってほしい。私の学生にも、そういういいマスコミで活躍してもらいたいと願っています。そして、仮に共産党が与党になったとしても、「赤旗」には権力を監視しつづける報道機関でいてほしいと望んでいます。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって