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2011年12月11日(日)

主張

来年度税制

大企業奉仕が不公平を広げる

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 野田佳彦内閣が10日未明の臨時閣議で2012年度の「税制改正大綱」を決めました。

 「税制改正大綱」が第一に掲げているのは「新成長戦略の実現」です。昨年6月に菅直人・前内閣が決定した新成長戦略は、ほとんど経団連の方針を引き写しにしたような内容です。大企業の「国際競争力」の強化を最優先に、法人税減税をはじめとする徹底した財界目線の政策を並べています。

 「大企業を応援すれば経済が良くなり、いずれ暮らしも良くなる」という、破たんした自民党流の古い発想そのものです。

不安の大もとに消費税

 「税制改正大綱」に盛り込まれた施策の中心は、直接大企業を潤す減税措置と販売面から大企業を応援する減税措置です。

 直接大企業を潤す減税では、研究開発減税の上乗せ措置の延長や大企業の人減らし・リストラを支援する産業活力再生法の減税措置の延長などを盛り込みました。販売面から大企業を応援する減税として、国の自動車重量税を1500億円減税するとともに「エコカー減税」を3年間延長します。

 いずれも、経団連が9月に発表した「税制改正に関する提言」で法人税率の引き下げの実行とともに要求していた措置です。

 自動車減税では、自動車産業と経団連は自動車取得税、自動車重量税の廃止を求めています。「財源がない」と言っていた財務省も結局は自動車重量税の減税に同意しました。政府は自動車取得税も見直し、3000億円規模の「エコカー補助金」を新設すると約束しています。安住淳財務相は「自動車産業には日本経済のけん引役になってもらう」とのべ、これらが自動車産業への支援策であることを認めています。

 社会保障は「財源がない」と切り捨てる一方で、財界の要求なら財源がなくても従う本末転倒の姿勢が浮き彫りになっています。

 「政府は消費税の10%への引き上げを検討しているが、自動車取得税と消費税の合計で15%もの税が課せられることになれば新車販売に壊滅的な打撃を与える」―。日本自動車工業会の志賀俊之会長(日産自動車の最高執行責任者)は、こうのべて自動車の減税を要求しています。

 志賀氏の言葉は自動車産業の不安の大もとは消費税増税だということを示しています。消費税増税は国民の購買力を大きく落ち込ませ、自動車産業も難を逃れることはできません。世界経済危機が長期化する懸念がますます深まるもとで、日本の自動車産業の立場から考えても、無謀な消費税増税の中止こそ打開の道です。

行き過ぎ減税の是正へ

 民主党は自公と談合し、9日に閉幕した国会で、庶民に8兆円を増税する「復興増税」法と一体で法人税率を4・5%引き下げる法人税法改定を強行しました。

 2007年の政府税調答申は、税と社会保険料などの企業負担は「現状では国際的に見て必ずしも高い水準にはない」と明記しています。法人税率の引き下げは何の道理もない財界・大企業奉仕です。その上、さらに各種の減税で大企業を優遇するなら、つぎつぎと増税を迫られる庶民との不公平はますます広がります。

 大企業減税は明らかに行き過ぎです。新たな減税は中止し、行き過ぎた減税を是正すべきです。


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