2011年12月10日(土)
ロシア下院選挙
不正選挙 告発相次ぐ
10日に5万人の抗議集会
ロシアで4日実施された下院選挙をめぐり、プーチン首相の率いる与党、統一ロシアの不正に対する告発が相次いでいます。各地で連日、抗議デモが続いており、10日にはモスクワでの5万人集会をはじめ、各地で行動が予定されています。(片岡正明)
動画サイトに“手口”投稿
今回の選挙では、投票日直後から、インターネットの動画投稿サイト「ユーチューブ」などで、同じ人物が違う投票所を回り複数回投票する映像や、投票箱に事前に記入ずみ投票用紙の束を入れる手口を示す映像などが次々と投稿されました。さらに、投票所の集計で統一ロシアへの投票数が水増しされたことを示す映像などもあります。
これと並行して、下院選挙に国際監視団を派遣した欧州安保協力機構(OSCE)と欧州会議(47カ国が加盟)の議員会議(PACE)は、「多くの不正が行われ、政府による監視活動妨害があった」(PACE)「水増しなどの不正捜査が行われた」(OSCE)と発表。ロシアの民間団体「選挙監視団」も統一ロシアの得票率が中央選管発表の49・3%を大幅に下回る30%以下だったとする調査結果を発表しました。政府高官も「選挙違反はあったが、大規模でない」と一部で不正があったことを認めました。
モスクワ、サンクトペテルブルクの二大都市で連日続く集会では、最大で数千人が参加し、「憲法に基づく自由を」「プーチンはゴミ箱へ」と叫びました。
警察は、「無許可集会」を理由にこれまでに1000人以上を拘束。数万人規模の警官隊を導入し、警戒を強めています。
抗議行動の参加者は選挙の無効とやり直し、さらには現行選挙制度(比例代表制)の改定を求めています。現行制度では、すでに下院に議席のある政党以外は、15万人以上の署名(ただし1地域の署名数は最大5000人まで)を集めなければ政党として登録ができません。
10日のモスクワのデモはモスクワ市当局の許可を受けていますが、プーチン氏側の右翼青年組織などが動員され、衝突の恐れもあるといいます。