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2011年12月9日(金)

きょうの潮流

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 「おい、君、遊びに来ないか、僕のうちに、/とても大きな世界地図があるんだぜ」。北原白秋の詩の書き出しです▼日本がアジア・太平洋戦争を始めて間もないころの詩でしょう。日本軍が占領したところに、次々と日の丸を描きこんでゆく少年をうたいます。「すばらしいの、何のって、君、/大東亜共栄圏なんだもの」▼少年の頭の中の地図で、「大東亜共栄圏」はもっとふくらんでいます。「カナダだって、スエズだって、パナマだって、/もうとうに塗りかえてるんだぜ」。童謡「この道」「からたちの花」を作詞した人の言葉とは思えない、妄想としかいいようのない詩です▼もう一つ。戦争も終わりに近づく1944年の、『主婦之友』12月号です。奇数ページの上に、四つの標語を順ぐりに刷り込みました。「アメリカ人をぶち殺せ」「アメリカ人を生かしておくな」「アメリカ兵をぶち殺せ」「アメリカ兵を生かしておくな」▼『神国日本のトンデモ決戦生活』(早川タダノリ著)が、写真つきで紹介しています。女性雑誌の全52ページのうち21ページに繰り返し載せたというのですから、当時の興奮ぶりが分かります。日本のアジア・太平洋戦争は、国民を熱狂の渦に巻き込みました▼閉塞(へいそく)感たちこめる今の日本にも、気がかりな風潮が見受けられます。やはり物事の道理を軽んじ、他者への憎しみや「独裁」への期待をあおったりする。もちろん昔に帰るわけでないにしても、見過ごせません。「この道はいつか来た道」みたいだ、と。


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