2011年12月9日(金)
主張
一川防衛相問責へ
新基地建設計画の撤回こそ
沖縄県民と女性を侮辱した防衛省沖縄防衛局長(当時)の暴言問題などで責任を追及されてきた一川保夫防衛相への問責決議が、9日の参院本会議に提出、可決される見通しになっています。
一川氏は沖縄防衛局長の暴言の後も問題発言を続け、開き直っています。問責は当然です。同時に、一川氏を防衛相に起用・任命しただけでなく、発言が問題になったあともかばい続けている野田佳彦首相の責任が、いよいよ問われるのは避けられません。
防衛相の資格に関わる
一川氏はこの間の国会答弁や記者会見で、自らの発言を「防衛相としての本来の責任を問われる致命的なものではない」と強弁し、開き直ってきました。野田首相も国会答弁で一川氏に対し、「閣僚としての職務を着実に遂行しており、起用した自らの判断は正しい」とかばい続けてきました。一川氏にも野田首相にも反省はなく、その責任がきびしく問われるのは当たり前です。
沖縄の米軍普天間基地の「移設」のための名護市辺野古への新基地建設を進めるため、環境影響調査(アセスメント)の評価書をいつ提出するかについて、「犯すとき、これから犯すというか」と性暴力にたとえた沖縄防衛局長の発言は、許すことのできない暴言として、沖縄県民とりわけ女性の憤激を呼んでいます。沖縄防衛局長は更迭し処分するとしたものの、大臣としての一川氏自身の責任が厳しく問われるのは避けられません。
しかも沖縄防衛局長の暴言が問題になっているさなか、一川氏は国会で1995年の沖縄での米兵による少女暴行事件について、「詳細を知らない」と発言しました。事件は沖縄県民の“島ぐるみ”の怒りを呼び、日米政府が普天間基地の撤去をもちださざるを得なくなったきっかけになったものです。その詳細を知らないというのでは、防衛相としての資格にいちじるしく欠けることは明らかです。
責任は「致命的なものではない」とか、防衛相としての「職務は着実に遂行している」などという一川氏や野田首相の発言は、一切通用しません。沖縄防衛局長の暴言や一川氏の無責任な発言は、政府と沖縄県民との信頼をいちじるしく傷つけています。新基地が建設予定の名護市の稲嶺進市長が、一川氏について「その任にあるべきではない」と辞任を求めたのは当然です。7日夜、那覇市内で開かれた「女たちの抗議集会」でも、一川氏や野田首相の責任を追及する声が相次ぎました。そうした批判にもかかわらず一川氏が開き直りを続け、野田首相がかばい続けること自体、県民の怒りの火に油を注ぐことにしかなりません。
アセス評価書提出中止を
沖縄での新基地建設のためのアセス評価書の提出を年内に予定していることなどを、一川氏が防衛相に居座る口実にしようなどというのは、まったく本末転倒です。沖縄防衛局長の暴言や一川氏の発言が県民の強い怒りを呼んでいるのは、新基地建設が県民の意に反していることを承知で、沖縄に犠牲を押し付けている政府の姿勢を浮き彫りにしているからです。
口先だけの陳謝ではなく、新基地計画の押し付けそのものを見直すべきです。評価書提出は止め、計画を撤回してこそ、県民の声に応えることになります。