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2011年12月7日(水)

主張

米軍への空中給油

アジアの緊張高めていいのか

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 日本の航空自衛隊が米空軍と2010年12月、北大西洋条約機構(NATO)が定める手順書にもとづいて空中給油訓練をしていたことが明らかになりました。

 日米軍事当局が昨年10月に結んだ空中給油についての「覚書」によるもので、今回は米軍から自衛隊への空中給油ですが、自衛隊も米軍に給油できるようになっています。「アジアで長距離攻撃能力を強化する」という米軍に自衛隊が空中給油するのは、憲法違反の集団的自衛権の行使にもつながります。「訓練」だから問題ないという防衛省の言い分は通用しません。

海外作戦の備え

 空中給油は戦闘機などの飛行距離を延ばし、長距離攻撃を可能にする軍事活動です。米軍の自衛隊への給油も自衛隊の海外作戦能力を強めるものです。日本が空中給油技術を高めることは、再び海外で軍事作戦する能力をもとうとしているのではないかとの疑念を周辺諸国に抱かせることになりかねません。

 空中給油能力を強め周辺諸国に脅威を与えるのは、戦争を放棄した憲法に照らしても許されません。1973年、当時の田中角栄首相が「空中給油機は保持しない。空中給油の演習、訓練もしない」(4月10日参院予算委員会)との見解を表明したのはそのためです。日本が空中給油能力を高めれば周辺諸国の警戒心を呼び起こす要因ともなります。アジア地域の軍事緊張につながることはやめるべきです。

 重大なのは日米「覚書」で、「米太平洋軍担任地域」のなかで自衛隊がNATOの空中給油手順書にもとづいて米軍に空中給油できるようにしたことです。米軍が「覚書」を日本に結ばせて自衛隊の空中給油技能を高めるのは、太平洋地域での軍事作戦に必要だからです。米統合参謀本部が2月につくった「国家軍事戦略」は、自衛隊を活用して「域外作戦能力を向上させていく」とのべています。NATOの手順書が適用されるため日本がその気になれば、NATO諸国軍への空中給油も可能になる問題もあります。米軍の世界軍事戦略への関与をさらに強めるのは許されません。

 「覚書」は日米物品役務相互提供協定(ACSA)にもとづくものです。1996年につくられた日米ACSAは改悪を重ね、共同訓練だけでなく、国連平和維持活動(PKO)への参加やアメリカが日本の周辺で行う戦争にほかならない「周辺事態」、さらには日本有事など、適用範囲が大きく拡大されています。「覚書」は、ACSAが対象にする事態すべてで自衛隊が空中給油支援できる道筋をつくったことになります。日米の軍事一体化が日本と世界の平和を脅かすことになるのは明らかです。

「覚書」を撤回せよ

 空中給油に関する日米「覚書」の存在と日米空中給油訓練の実施がわかったのはいずれも米軍情報によるものです。日本は公表しませんでした。米軍・NATO諸国軍への空中給油に道を開く重大問題にもかかわらず、防衛省がこの事実を隠してきたのは大問題です。国民に情報を隠しながら、憲法違反の日米空中給油を実施するのは絶対に許されません。

 日米空中給油の「覚書」はただちに撤回し、日米軍事一体化の危険な策動はやめるべきです。


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