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2011年12月7日(水)

福島第1 汚染水 海に流出

ストロンチウムなど260億ベクレル

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 東京電力は6日、福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)から放射性ストロンチウムなどを含む水が海へ流出していたことを確認したと発表しました。高濃度放射能汚染水処理システムの蒸発濃縮装置から漏れた水が側溝や排水溝を通じて流出したもので、流出した水の量は約150リットル、含まれていた放射性物質の量は約260億ベクレルと推定されるとしています。

 蒸発濃縮装置から処理水が漏れていたことがわかったのは4日午前11時半ごろ。装置が入った仮設の建屋内にたまっていたほか、建屋の外にも流れ出していて、近くを通っている側溝に流れ込んだことを示す跡が残っていました。午後3時すぎに建屋から処理水が流れ出していたところに土のうを積みましたが、それ以前に流出した水は側溝から海へ通じる排水溝へ流れ出し、海へ流れ込んだ可能性があるため、排水溝の2カ所で水を採取して分析を行っていました。

 その結果、建屋よりも下流側に当たるところで4日午後5時半ごろ採取した水から放射性ストロンチウムを含む全β(ベータ)が1立方センチ当たり49万ベクレル含まれていることがわかりました。一方、建屋の上流側で採取した水に含まれていた全βは1立方センチ当たり0・15ベクレルでした。

 処理水にはもともと全βが1立方センチ当たり54万ベクレル含まれていました。東電は流出直後に排水溝の下流側で採取した水に全βが高濃度で含まれていたことは、処理水が側溝から排水溝を通じて海へ流出したことを示すと判断したとしています。


解説

手立てとらぬ東電 まかせられない

 福島第1原発から放射能の汚染された水が海へ流出したのは、3月11日の事故発生以来、確認されているだけでも今回で4回目です。4月に放射能で汚染された地下水などを意図的に放出し、4月と5月にはタービン建屋地下などにたまっている高濃度放射能汚染水が海へ流出しました。漁民をはじめとした国内の人々はもとより諸外国から強い批判を浴びるたびに、東電は再発防止に全力をあげると約束してきました。

 しかし、今回の事態は、東電が事故によって発生した放射性物質で海を汚染しないために必要な手立てをとっていないことをあらためて白日の下にさらしだしました。これは、蒸発濃縮装置に水漏れを検知する機器が設置されていなかったことからも明らかです。

 蒸発濃縮装置に入ってくる水は、放射性セシウムなどは一定程度除去されているものの、摂取すると骨などに蓄積して内部被ばくによる影響が大きい放射性ストロンチウムはほとんど除去されていません。高濃度放射能汚染水処理システムは、各種の装置とそれらを結ぶ総延長4キロにも達する配管で構成されています。これまでも配管から水漏れがたびたび起こるなど、こうしたシステムで高濃度放射能汚染水の処理を行うことに無理があると指摘されていました。

 東電は、今回の流出に伴う影響について、海へ流出した場所の魚類や海藻などを毎日食べ続けても、受ける放射線量は自然界から受ける年間の放射線量の約600分の1であり「ほとんど無いと考えて」いるなどと無責任な姿勢を示しています。事故の処理を東電まかせにしたままでは、海の汚染が繰り返され、さらに深刻な事態になるだけです。 (間宮利夫)


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