2011年12月5日(月)
きょう アフガン国際会議
外国軍撤退後を協議
【ロンドン=小玉純一】アフガニスタン国際会議が5日、ドイツのボンで開催されます。国際機関代表のほか、90カ国代表らの参加が見込まれます。北大西洋条約機構(NATO)諸国の戦闘部隊は2014年末までに撤退する方針。ボン会議はその後の国際社会のアフガン関与を確認します。
求められる包括和平
主催国ドイツのウェスターウェレ外相と議長国アフガンのラスール外相は2日、米紙ニューヨーク・タイムズへの寄稿で、ボンの会議がNATO軍撤退後も、国際社会が民生分野で強固に関与する方向を定めることになると強調。同時に「アフガンが必要な限り外国軍駐留を続けることも共通の理解となっている」と指摘しました。NATOはすでにアフガン部隊訓練要員の駐留の用意があることを表明しています。
ドイツの有力雑誌『シュピーゲル』(電子版)は2日、アフガンの動向を不確実なものにしているのは米国だと指摘。隣接する中国、イラン、パキスタンの動きをふまえ、この地域に長期的なプレゼンスを維持すべきだとの声が米国内で有力だとして、アフガン内の三つの米軍基地(マザリシャリフ、バグラム、カンダハル)の存続に関心を向けています。
今回の会議の会場はちょうど10年前、米軍が9・11同時多発テロの報復攻撃でタリバン政権を打倒した後に、アフガンの政治の枠組みとなる「ボン合意」を決めたのと同じ場所。当時、米国がアフガン行政のトップに推薦したカルザイ氏は選挙を経て、アフガン大統領となり、今会議で議長を務めます。
10年の経緯は、選挙を経た国づくりを進めながら、外国軍の軍事力で反政府勢力を抑える方式の完全な失敗、ボン合意の枠組みの破たんでもありました。
ボン合意当時に駆逐したはずの反政府勢力タリバンは復活し「占領軍撤退」を掲げ、いまなお策動を続けています。欧米諸国は、タリバンや他の反政府勢力とアフガン政府との対話、米国との水面下での接触に期待しましたが、今にいたっても実を結んでいません。
反政府勢力の有力な部分とつながる諜報機関のある隣国パキスタンは、NATO軍によるパキスタン軍への「誤爆」への抗議として今回欠席。10年目という節目となる会議を大きく傷つける形になりました。
欧米メディアは、ソ連軍の1989年撤退後、アフガンが内戦に陥った経緯から、2014年末までの外国軍戦闘部隊撤退後、内戦の可能性があることに警鐘を鳴らしています。10月発表の世論調査では、アフガン国民の60%がNATO軍撤退後の内戦を懸念する一方、56%が外国軍を占領軍と見なしています。
この10年、アフガンに混乱をもたらしてきた米軍の撤退と一体に、反政府勢力、周辺国も含めたアフガン政府の包括和平が求められます。