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2011年12月5日(月)

NHK「日曜討論」

笠井政策委員長代理の発言

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 日本共産党の笠井亮政策委員長代理が4日、NHK番組「日曜討論」で発言した内容を紹介します。テーマは、野田政権が進める税と社会保障の「一体改革」についてです。


年金は払いすぎか

 番組では、「(過去の物価下落時に年金額を据え置いたことに伴う)特例水準の解消」と称して政府・与党内で、年金額を3〜5年で2・5%引き下げる方針が決まりつつあることが取り上げられ、民主党厚生労働部門会議の長妻昭座長が、来年の通常国会にも法案が提出されるとの見通しを示しました。

 自民党の宮沢洋一厚労部会長は「民主党の中で議論が進んでいることを歓迎している」と発言。公明党の石井啓一政調会長は、デフレ脱却をした上で「特例水準」を解消すべきだと主張しました。

 笠井 (政府は「特例水準」で)年金を払いすぎているというが、国民年金、基礎年金は平均月5万円。女性だと4万円台です。満額でも6万6千円だから、もらいすぎというより、少なすぎる。いまでも暮らしていけないのに、さらに下げるとなると生活に大打撃です。物価が下がったといいますが、光水熱費や医療費や保険料などは逆に上がっている。しかも年金額の引き下げは、被災者も含めて対象になる。そういう冷たい仕打ちはやめるべきです。

 長妻氏は、2055年には高齢者1人を現役世代1人が支えなければならなくなると強調。また、「低収入の方の低年金の上乗せも検討している」と述べ、年金減額への理解を求めました。

 笠井 (低所得者の)年金を底上げするというなら、まずそれをやるべきです。それから、世代間の問題ですが、私は、現役1人で何人を支えるかという議論自体が間違っていると思います。この問題は、社会全体で支えるという立場でとりくむべきです。

 世代間格差があるといって、高齢者の年金、医療、社会保障を削れば、結局、現役世代も困ります。とくに高齢者を抱えている現役世代は大変です。介護の問題でも、仕事をやめてとか、介護心中みたいな話もある。しかも、年をとったら今度は自分が大変になる。

 それから、現役世代自身も、働く人の3分の1が非正規で不安定雇用になっていますから、支え手をつくるという点では雇用政策をしっかりやる。労働者派遣法を抜本改正し、最低賃金も上げる必要があります。

三つの改善を提案

 世論の強い反発を受けている年金支給開始年齢の68歳程度への引き上げ案については、長妻氏自身が「できない」「いま議論が出ることも非常に誤解を招く」と発言。自分たちの政府が持ち出してきた話なのにと各党から苦笑がもれました。

 笠井 「消えた年金」を問題にしてきた民主党が政権についたら、年金を消してどうするんだと。「できない」といいましたけど、「当面はできない」という話なんですよ。厚労省が支給開始年齢の引き上げなんてことを言ったこと自体が年金への信頼を損なっているんですよ。問題は、暮らしを支えるしっかりした年金制度をどうつくるかです。

 三つあると思います。一つ目に、受給のための加入期間を10年に引き下げること。二つ目に、最低保障年金で無年金を解消し、低年金の問題も底上げをはかること。三つ目に、財源論でいえば、大企業・大資産家にしっかりと応分の負担を求めること。こういう対策こそいま必要です。

窓口定額負担とは

 医療でも、外来受診のたびに100円程度の負担が上乗せされる「受診時定額負担」の導入や、70歳から74歳の窓口負担の1割から2割への引き上げという「一体」改悪のメニューが問題になりました。

 国民新党の亀井亜紀子政調会長は、「定額負担」について、「改革案」の作成過程で、国民新党が「例えば」という文言を入れさせたと弁明。「3割負担が上限と決めた、健康保険法の改正(02年)の付則にも違反している」と問題視しました。長妻氏は「今月中に政府・与党一体で結論を出す」と表明しました。

 笠井 窓口負担の問題でいえば、そもそも現在の3割負担が世界の中でも非常に高い。しかも、亀井さんが言ったように法律でこれ以上上げないと書いてあるものなのです。それなのに、今度は内科や歯科などいろんな科目にかかるたびに1回100円ということで、それによって受診するかどうか迷う人、我慢する人をつくる。それ自体が受診抑制を狙ったものだという点でいうと、「例えば」という言い方だとしても、こんなこと言い出すこと自体が堕落だし、やってはならない。70歳から74歳の話も結局1割から2割へと倍になります。自民、公明政権ですらやらなかったことをやろうとしているのです。民主党は(公約した)後期高齢者医療制度の廃止こそやれといいたい。

真の税制改革示す

 長妻氏は、前出の二つの医療改悪について、「党内の議論の方向性としても難しいということになっている」「社会保障で負担ばかりをお願いすると、なんのために消費税を上げるのかといわれかねない」と発言。同時に「国会議員の定数削減なども進めていくという前提だが、消費税をお願いしないと社会保障が持続可能にならないことはある程度議員の中では共有している」と述べました。

 笠井 これでわかったように野田内閣の「一体改革」は史上最悪のものです。社会保障については負担増のオンパレードで、消費税は倍にするという大増税ですから、これは前回総選挙の民主党の公約にも違反するものであり、許されません。

 消費税は所得の少ない方に重くのしかかる税金ですから、財源としてはもっともふさわしくありません。

 そこで三つ提案したい。一つ目は、震災後の法人税減税とか証券優遇税制をやめて無駄を削ることです。二つ目は、大企業・富裕層に応分の負担を求めることです。富裕層の課税強化は欧米でもやっています。三つ目は、国民全体で社会保障を支えることが必要ですが、そのさいも、所得に応じて負担するという税制改革をするということです。

 民主党が消費税増税に前のめりになっていることについて、自民党の宮沢氏は「たいへん歓迎しているが、総選挙が先」と発言。公明党の石井氏は「社会保障、とくに年金改革の改革案を示してもらわなければ議論に入れない」と述べました。


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